
「ゲーミングPCのメモリについて調べてるんだけど、シングルチャネルとデュアルチャネルってどんな違いがあるの?メモリの枚数を増やしただけで性能が上がるのかな?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- シングルチャネル・デュアルチャネルとは
- シングルチャネル・デュアルチャネルにおけるゲーム性能の違い
- デュアルチャネルについて知っておきたい諸々のこと
メモリのチャネルはゲーミングPCの性能に関わってくるところだ。
このページを見れば、シングルチャネルとデュアルチャネルとで実際にどんなゲーム性能差があるのかがわかり、メモリのチャネルに関して損をすることが無くなる。
シングルチャネル・デュアルチャネルとは
ざっくり説明すると、メモリ1枚で動作させるのがシングルチャネル、メモリ2枚で動作させるのがデュアルチャネルだ。
例えばメモリ容量が16GBの場合、16GBのメモリを1枚搭載するのがシングルチャネル、8GBのメモリを2枚搭載するのがデュアルチャネルだ。
理論的にはデュアルチャネルのほうがシングルチャネルよりデータ転送速度がはやく、ゲームなどのパフォーマンスが向上する。
この話は道路や蛇口でよく例えられる。
1車線の道路を100台の車が通過するのに100秒かかるとする。もし2車線であれば、1車線につき50台ずつ走れるので、通過するのに50秒しかかからない。
メモリの場合は実際のパフォーマンスが2倍になるわけではないが、デュアルチャネルのほうがはやいというイメージはつかめたはずだ。
シングルチャネル・デュアルチャネルのそれぞれのゲーム性能を比較
シングルチャネル・デュアルチャネルで、実際のゲーム性能にどれほどの差があるのかを見ていこう。
eスポーツ系のゲームの場合と、重めのゲームの場合の2つの場合で測定するが、どちらもメモリ容量は16GB(16GB×1、8GB×2)で、規格はDDR4-3200だ。
eスポーツ系のゲームの場合
シングルチャネル | デュアルチャネル | |
Fortnite | 319 | 351 |
Apex | 222 | 220 |
Call of Duty Warzone | 131 | 144 |
eスポーツ系のゲームの場合、エントリー~ミドルクラスの性能で十分なので、Ryzen5 5600X×RTX3070という組み合わせでの検証となる。
表を見ればわかるように、デュアルチャネルはシングルチャネルと同等か10%増しのパフォーマンスを出せている。
デュアルチャネルの優位性はゲームタイトルによって異なるが、少なくともシングルチャネルに優位性は見られない。
eスポーツ系のゲームの場合はデュアルチャネルで間違いない。
重めのゲームを重めの設定でプレイする場合
シングルチャネル | デュアルチャネル | |
Cyberpunk 2077(WQHD) | 89 | 92 |
Watch Dogs Legion(WQHD) | 85 | 104 |
Far Cry 6(WQHD) | 90 | 103 |
Red Dead Redemption 2(WQHD) | 102 | 104 |
リアルなグラフィック重視のゲームの場合、それなりの性能が必要なので、Core i7-12700K×RTX3080という組み合わせでの測定だ。
表を見ればわかるように、デュアルチャネルの方が高いフレームレートが出る傾向にある。誤差の範囲の差しかないゲームもあるが、シングルチャネルの10~20%程度のフレームレートを出せるゲームもある。
つまりeスポーツ系の比較的軽めなゲームと同様、重いゲームにおいてもデュアルチャネルの方が優位性があるということだ。
結論:ゲーミングPCならデュアルチャネル一択
ほとんどのゲームタイトルにおいて、シングルチャネルよりデュアルチャネルのほうが高いフレームレートが出る。
タイトルによっては20%ほど上昇するので、シングルチャネルにする必要性がないほどだ。
「シングルチャネルはメモリ1枚、デュアルチャネルはメモリ2枚ってことは、デュアルチャネルは価格が高いんじゃないの?」と思うかもしれないが、実際はほぼ同額と言って良いレベルだ。場合によってはデュアルチャネルのほうがなぜか安いということもある。
デュアルチャネルにするだけで、ほぼ同額でパフォーマンスの向上が見られるので、ゲーミングPCならデュアルチャネル一択だ。
BTOショップのゲーミングPCはほとんどがデュアルチャネル
BTOショップで販売されているゲーミングPCであれば、ほとんどがデュアルチャネルになっている。
メモリが16GBであれば8GB×2、32GBであれば16GB×2、64GBであれば32GB×2となっていることがほとんどだ。
BTOショップでゲーミングPCを買う場合はデュアルチャネルになっているかどうかを気にする必要はほぼない。一応目を通しておく程度でOKだ。
格安のローエンドモデルはシングルチャネルなこともある
BTOショップのゲーミングPCはほぼデュアルチャネルだが、10万円程度のローエンドモデルはシングルチャネルになっていることがある。
ローエンドモデルのメモリは16GB×1になっていて、カスタマイズでもデュアルチャネルにすることができないパターンがほとんどだ。
そもそも10万円程度のゲーミングPCは性能不足なのでおすすめしていないが、もし購入する場合はメモリにも注意しておきたい。
自分のゲーミングPCがデュアルチャネルかどうかを確認する方法
BTOショップで買ったゲーミングPCなら、8GB×2などと書かれていればきちんとデュアルチャネルになっているはずだが、自分で確認することもできる。
CPU-Zという定番無料ソフトを使えば、メモリがデュアルチャネルで動作しているかを確認できるのだ。
CPU-Zのインストール方法は以下の通り。
- 「CLASSIC VERSIONS」にある「SETUP・ENGLISH」をクリック
- 「DOWNLOAD CPU-Z」にある「DOWNLOAD NOW!」をクリック
- インストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールする
CPU-Zを起動して「Memory」タブを開けばメモリの情報を見ることができる。

ChannelのところにDualと書かれていればデュアルチャネルになっている。
CPU-Zはメモリ以外にCPUやグラボ、マザーボードなどの確認もできるので入れておいて損はないソフトだ。
デュアルチャネルとして動作するパターン
実は、メモリを2枚挿せば必ずデュアルチャネルとして動作するわけではない。
デュアルチャネルとして動作するパターンは以下の通り。
なお、デュアルチャネル対応のマザーボードには基本的にメモリスロットが4つあるので、順番に1~4の番号を振っておく。
- 合計2枚:2,4番目に○GBのメモリを計2枚挿す(1,3番目ではなく2,4番目に挿すことが多い)
- 合計4枚:2,4番目に○GBのメモリを計2枚挿し、1,3番目に△GBのメモリを計2枚挿す
- 合計2枚:2番目に○GBのメモリを1枚挿し、4番目に△GBのメモリを1枚挿す
- 合計3枚:2,4番目に○GBのメモリを計2枚挿し、1番目に△GBのメモリを1枚挿す
大事なのはメモリを挿すスロットの場所だ。基本的には偶数番目同士、奇数番目同士がデュアルチャネルに対応している。
例えば、1番目と4番目にメモリを挿してもデュアルチャネルとして動作しないので注意。
デュアルチャネルを目指してメモリを買い足すときの注意点
現在シングルチャネルで動作させていて、デュアルチャネルを目指してメモリを買い足すときの注意点だが、平たく言えば「全く同じメモリを買え!」ということだ。
デュアルチャネルにする際、同じメモリでなくてもきちんと動作する可能性は高いが、無駄や不具合が出ることがある。難しいことを考える前に、同じメモリを2枚組み合わせてデュアルチャネルにすれば良い。
ゲーミングPCを一から自作する場合は2枚組のメモリを買えば良い。
自分が使っているゲーミングPCに搭載しているメモリの情報は、先ほども紹介したCPU-Zで型番まで知ることができる。
2枚を同じメモリ容量にする
8GB×2、16GB×2のように、2枚のメモリを同じ容量にしよう。
違う容量でもデュアルチャネルとして動作はするが無駄が出るのだ。
例えば1枚目は8GB、2枚目は4GBとした場合、1枚目の4GBぶんと2枚目の4GBがデュアルチャネルとして動作し、1枚目の残り4GBはシングルチャネルとして動作する。
メモリ規格とメモリクロックが同じメモリにする
メモリの仕様書にはDDR4-3200やDDR5-4800のような数字が書いてある。DDR4やDDR5の部分がメモリの規格、3200や4800の部分がメモリクロックだ。
マザーボードによってDDR4とDDR5のどちらが使えるのかが決まっている(DDR3以下もあるが、現在主流なのはDDR4かDDR5)。使用しているマザーボードがサポートしていない規格のメモリはそもそも使用できない。
例えば、DDR5に対応しているマザーボードの場合、DDR4のメモリは使えないので、使用しているマザーボードに合わせてDDR4かDDR5のどちらかにする必要がある。
規格だけでなくメモリクロックも見る必要がある。例えば1枚目がDDR4-3200のメモリの場合、2枚目もDDR4-3200のメモリにするべきだ。
もし2枚目をDDR4-2666にした場合、メモリクロックが低いほうに調整されるので1枚目もDDR4-2666として動作する。不具合が出るわけではないが、無駄が出るのだ。
メモリ規格やクロックに関しては別のページでも解説しているので、詳しく知りたい人はどうぞ。
≫DDR4とDDR5のどっちを選ぶ?ゲーム性能の違いを解説
同じメーカーのメモリを選ぶ
2枚以上のメモリを使う場合は、同じメーカーのメモリを選んだほうが良い。同じメーカーのメモリであれば不具合が起きる可能性が低いからだ。
最近では違うメーカーのメモリを使っても不具合が起きる可能性は少ないが、念には念を入れたほうが良い。パーツ同士の相性が悪くて不具合が起きるのはゲーミングPCでは割とよくあることだ。
メモリのメーカーを揃えることで不具合が起きるリスクを減らすことができる。
クアッドチャネルについて
主流なのはデュアルチャネルだが、さらに上にはクアッドチャネルというものがある。ざっくり言えばメモリ4枚で動作させることだ。(メモリ3枚のトリプルチャネルも存在するが今では主流ではない)
ただし、ただ単にメモリを4枚挿せばクアッドチャネルになるわけではない。注意点がいくつかあるので見ていこう。
クアッドチャネルに対応したマザーボードが必要
クアッドチャネルでメモリを動作させるには、クアッドチャネルに対応したマザーボードが必要だ。
多くのマザーボードにはメモリスロットが4つあるものの、デュアルチャネルにしか対応していない場合がほとんどだ。
デュアルチャネル対応のマザーボードにメモリを4枚挿してもクアッドチャネルにはならず、デュアルチャネルとして動作する。
マザーボードの製品仕様の欄に対応チャネルが書かれているので、確認すると良い。

このマザーボードの場合、メモリスロットは4つあるがデュアルチャネル対応と書かれているので、メモリ4枚挿ししてもデュアルチャネルとして動作する。
クアッドチャネルで動作するパターン
クアッドチャネルに対応したマザーボードには8つのメモリスロットがある。
クアッドチャネルで動作するパターンは以下の通り。
なお、それぞれのメモリスロットに1~8の番号をつけておこう。
- 合計4枚:2,4,6,8番目のスロットに○GBのメモリを計4枚挿す
- 合計8枚:2,4,6,8番目のスロットに○GBのメモリを計4枚挿し、1,3,5,7番目のスロットに△GBのメモリを計4枚挿す
デュアルチャネルで動作させるときと同じく、偶数番目同士、奇数番目同士で対応している。
シングルチャネルとデュアルチャネルまとめ
- デュアルチャネルはシングルチャネルの20%増しのフレームレートを出せることもある
- ゲーミングPCならデュアルチャネル一択
- 自分でメモリを増設する場合は挿すメモリスロットに注意
このページではシングルチャネルとデュアルチャネルとの違いについて解説した。
メモリ自体の選び方について知りたい人は以下のページを読むと良い。
≫メモリの役割とは?ゲーミングPCに必要な容量は16GBか?32GBか?