
「エントリー~ミドルくらいのゲーミングPCにしようと思ってるんだけど、Ryzen5 7600Xってどんな性能なの?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- Ryzen5 7600Xの特徴を解説
- Ryzen5 7600Xの性能ベンチマークを比較
- Ryzen5 7600X搭載のゲーミングPCをBTOから紹介
Ryzen5 7600Xは2022年9月に発売されたCPUだ。
このページを読めば、Ryzen5 7600Xがどんな性能を持つCPUなのかがわかり、自分に合っているかどうかを判断できるだけでなく、おすすめのRyzen5 7600X搭載PCまで知ることができる。
Ryzen5 7600Xの特徴
Ryzen5 7600Xは、ミドルクラスのRyzen5とは思えないほどの性能であり、これからRyzenを使っていくのであればおすすめできるCPUだ。
Ryzen5 7600Xは性能以外に、様々な新規格に対応しているのがポイントだ。これから長くゲーミングPCを使っていく人にとって、新規格で揃えられるRyzen5 7600Xは非常に魅力的だ。
従来のRyzen5のようなコスパ重視をイメージしている人にとっては残念だが、Ryzen5 7600XはPC玄人のような人に向いている1ランク上のCPUだ。
特徴1:長く使えるゲーミングPCを目指している
Ryzen5 7600XというよりRyzen7000シリーズの特徴だが、長く使えるゲーミングPCを目指している。
Ryzen5 7600XはDDR5にのみ対応していたり、PCIe5.0のレーンが多かったりする。これらは新しい規格であり、数年後には主流になっているであろう規格だ。
一足先に新規格に対応することで、数年後にCPUを買い替えることになったとしても、CPUだけを買い替えれば良いというわけだ。
実際、Ryzen5 7600Xに対応するソケット(AM5)は、最低でも2025年までは使用する予定とのことだ。
ゲーミングPC全体として長く使えるシステムを整えていくというAMDの意思を感じる。
特徴2:エントリー向けのCPUではない
Ryzen5 7600Xは、価格重視のエントリー向けCPUと思わないほうが良い。
従来であればRyzen5はメインストリーム向けの低価格CPUだが、Ryzen5 7600Xでは新規格に対応するという性質上、安価にならない。
実際はCPU単体では安価なのだが、ゲーミングPC全体として高額になってしまう。
低価格なメインストリーム帯は前世代のRyzen5000シリーズに任せていて、Ryzen5 7600Xを含むRyzen7000シリーズは玄人向けというわけだ。
Ryzen5 7600Xの性能表を比較
R5 7600X | R5 5600X | R7 7700X | i5-13600K | |
---|---|---|---|---|
コア数 (P/E) | 6コア | 6コア | 8コア | 6コア/8コア |
スレッド数 | 12スレッド | 12スレッド | 16スレッド | 20スレッド |
定格クロック (P/E) | 4.7GHz | 3.7GHz | 4.5GHz | 3.5GHz/2.6GHz |
最大クロック (P/E) | 5.3GHz | 4.6GHz | 5.4GHz | 5.1GHz/3.9GHz |
L2/L3キャッシュ | 6MB/32MB | 3MB/32MB | 8MB/32MB | 20MB/24MB |
PCI-Express (Gen/レーン) | 5.0/24レーン | 4.0/16レーン | 5.0/24レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR4-3200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 DDR5-5600 |
基本消費電力 | 105W | 65W | 105W | 125W |
R5 7600X | R5 5600X | |
---|---|---|
定格クロック | 4.7GHz | 3.7GHz(79%) |
最大クロック | 5.3GHz | 4.6GHz(87%) |
L2キャッシュ容量 | 6MB | 3MB(50%) |
PCI-Express | 5.0/24レーン | 4.0/16レーン |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
基本消費電力 | 105W | 65W(62%) |
Ryzen5 5600Xは、Ryzen5 7600Xの前世代にあたるCPUだ。
Ryzen5 7600XとRyzen5 5600Xの大きな違いは、将来性だ。
Ryzen5 5600Xは旧規格のDDR4にしか対応していないが、Ryzen5 7600Xは新規格のDDR5対応だ。
Ryzen5 5600Xを選んだ場合、数年後に新しいCPUに換えるときに、メモリやマザーボードも交換する必要がある。
一方でRyzen5 7600Xを選べば、数年後に新しいCPUに換えようとしたときに、メモリやマザーボードはそのまま流用できる可能性が高いというわけだ。
新CPUが発売されるごとにパーツを自分で更新していきたいと考えている人には、Ryzen5 7600Xのほうが魅力的だ。
なお、比較してはいるが、Ryzen5 7600XとRyzen5 5600Xとでは、主に価格面で全くの別物だと考えたほうが良い。安さを期待しているのであれば、Ryzen5 5600Xを選ぶべきだ。
R5 7600X | R7 7700X | |
---|---|---|
コア数 | 6コア | 8コア(133%) |
スレッド数 | 12スレッド | 16スレッド(133%) |
定格クロック | 4.7GHz | 4.5GHz(96%) |
最大クロック | 5.3GHz | 5.4GHz(102%) |
L2キャッシュ容量 | 6MB | 8MB(133%) |
Ryzen7 7700XはRyzen5 7600Xの1ランク上に位置するCPUだ。
Ryzen5 7600XとRyzen7 7700Xの大きな違いはコア数だ。
Ryzen5 7600Xは6コア、Ryzen7 7700Xは8コアを搭載する。
ゲーム用途であれば、6コアも8コアもさほど変わらない。ゲーム目的のCPUであれば、6~8コアあれば十分であり、Ryzen5 7600XとRyzen7 7700Xのどちらでも大きな違いはない。
一方でクリエイティブ用途であったり、PCゲーム+配信のような使い方をする場合は、8コアのRyzen7 7700Xのほうが有利だ。
R5 7600X | i5-13600K | |
---|---|---|
コア数(Pコア/Eコア) | 6コア | 6コア/8コア |
スレッド数 | 12スレッド | 20スレッド |
L2/L3キャッシュ容量 | 6MB/32MB | 20MB/24MB |
PCI-Express(Gen/レーン数) | 5.0/24レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR4-3200 DDR5-5600 |
基本消費電力 | 105W | 125W |
Ryzen5 7600XとCore i5-13600Kの大きな違いは、コア数だ。
Core i5-13600Kは全部で14のコアを持ち、高性能なPコアと、低性能だが高効率なEコアに分かれている。
例えばゲーム+通話をする場合、メインのゲームをPコアが処理し、バックグラウンドの通話をEコアが処理する。
用途によってコアを使い分けることで、コアの性能を無駄なく使い、全体としてパフォーマンスを高めるというわけだ。
ゲームだけの場合はどちらも6コアだが、ゲーム+αの場合にCore i5-13600Kのほうが有利に働きやすい。
Ryzen5 7600Xの性能ベンチマークスコアを比較
R5 7600X | R5 5600X | R7 7700X | i5-13600K | |
---|---|---|---|---|
Cinebench シングル | 1976 100% | 1593 81% | 2010 102% | 2021 102% |
Cinebench マルチ | 15315 100% | 10988 72% | 20399 133% | 24320 159% |
※シングルスコアはコア1つぶんの性能であり、ゲーム性能に近い。マルチスコアは全コアの性能であり、クリエイティブ性能に近い。
Ryzen5 7600Xのベンチマークスコアは非常に高いがコア数の少なさがネックだ。
前世代のRyzen5 5600Xと比べてシングルスコアで19%、マルチスコアで28%の差をつけている。
AMDはIntelと違って新CPU発売のサイクルが長いので、1世代間でも大きな差がある。
とはいえ、Core i5-13600Kにマルチスコアで大差をつけられているのは無視できない。
Ryzen5 7600Xのコアのパワーがいくら強力とは言っても、コア数の暴力には勝てないことがある。
IntelのCPUはCore i5でも10コア以上あることを考えると、Ryzen5 7600Xの6コアは少なく感じる。
実際にCore i5-13600Kに59%のマルチスコア差をつけられているところを見ると、物足りない。
Ryzen5 7600Xのゲーム性能を比較
R5 7600X | R5 5600X | R7 7700X | i5-13600K | |
---|---|---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 102 | 74 | 106 | 108 |
Forza Horizon 5 | 214 | 160 | 217 | 218 |
Microsoft Flight Simulator | 91 | 67 | 106 | 97 |
Red Dead Redemption 2 | 172 | 151 | 182 | 168 |
Horizon Zero Dawn | 214 | 171 | 227 | 204 |
平均 | 158.6 | 124.6 | 167.6 | 159.0 |
割合 | 100%(基準) | 79% | 106% | 100% |
※RTX4090、フルHD
Ryzen5 7600Xは前世代のRyzen5 5600Xに21%の差をつけていて、高いゲーム性能を誇る。
ゲームによっては30%弱にまで差が広がっていて、Ryzen5 7600Xのパワーの高さがわかる。
Ryzen7 7700Xと比べても6%の差であり、ゲームによっては差がほぼついていないものもある。Ryzen5 7600Xは6コアしかないのがやや不利に働いたか。
競合IntelのCore i5-13600Kとは、同等のゲーム性能となっている。ゲームによって有利不利があるが、総合的に見れば同じパフォーマンスだ。
Core i5-13600Kは14のコアを持つが、ゲームで主に使うのは6個のPコアであり、Ryzen5 7600Xと同じ数だ。Core i5-13600Kの特徴であるEコアを活かしきれないので、同等のゲーム性能となっている。
ゲーム目的であれば、Ryzen5 7600Xは非常に魅力的なCPUだ。
≫おすすめのRyzen5 7600X搭載PCを見てみる
Ryzen5 7600Xのクリエイティブ性能を比較
R5 7600X | R5 5600X | R7 7700X | i5-13600K | |
---|---|---|---|---|
Blender | 215 100% | 152 71% | 279 130% | 311 145% |
V-Ray | 10941 100% | 8036 73% | 14691 134% | 15072 138% |
PCMark10 画像編集 | 21386 100% | 15258 71% | 23376 109% | 18753 88% |
PCMark10 動画編集 | 7852 100% | 6174 79% | 8285 106% | 8060 103% |
VRMark オレンジルーム | 18435 100% | 14416 78% | 18261 99% | 16322 89% |
Ryzen5 7600Xのクリエイティブ性能は前世代より大幅に進化しているが、物足りないという評価だ。
Ryzen5 7600XはRyzen5 5600Xに20~30%の差をつけていて、前世代からの進化幅が大きいことがわかる。とはいえ、クリエイティブ用途で使うにはコア数が足りない。
コア数が多いRyzen7 7700XやCore i5-13600Kと比べると、コア数が影響しやすいBlenderやV-Rayで特に差をつけられている。
クリエイティブ作業では複数の作業を並行して行うこともあることを考えると、6コアは少なすぎる。
Ryzen5 7600Xのクリエイティブ性能は、あくまでおまけとして考えておくべきだ。
Ryzen5 7600Xの価格やコスパを比較
R5 7600X | R5 5600X | R7 7700X | i5-13600K | |
---|---|---|---|---|
価格 | 3.3万円 | 2.1万円 | 4.4万円 | 4.9万円 |
コスパ (ゲーム) | 48.06 | 59.33 | 38.09 | 32.45 |
コスパ (ベンチ) | 0.46 | 0.52 | 0.46 | 0.50 |
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=マルチスコア÷価格(円)
Ryzen5 7600Xのコスパは、この中だと悪い。
前世代で値下がりしているRyzen5 5600Xと比べて低コスパなのは仕方がないが、Core i5-13600Kと比べて、ベンチマークにおいて低コスパなのは無視できない。
実際のゲームでRyzen5 7600Xのコスパが勝っているのは、Core i5-13600Kはゲームにはあまり関係のないコア数が増えていて、コア数ぶんの価格が上乗せされているからだ。
とはいえRyzen5 7600Xの価格は3.3万円であり、そこまで高額なわけではない。
ただし新規格に対応していることで、ゲーミングPC全体として高額になりやすいことに注意。特にBTOでは、低価格帯でIntelに勝てずに売れないため、性能や品質を盛ることで差別化を図っている。もちろんそのぶん価格も盛られる。
自分でパーツ交換を行う人で、将来性に投資できる人にRyzen5 7600Xはおすすめだ。
Ryzen5 7600X搭載PCの価格をBTOで確認
モデル1 | モデル2 | モデル3 | モデル4 | |
---|---|---|---|---|
CPU | R5 7600X | R5 7600X | i5-13600K | i5-13600K |
グラボ | RTX4060 | RTX4060 | RTX4060 | RTX4060 |
マザーボード | X670E | B650 | Z790 | B760 |
メモリ | 16GB(8GB×2) DDR5-4800 | 16GB(8GB×2) DDR5-4800 | 16GB(8GB×2) DDR5-4800 | 16GB(8GB×2) DDR4-3200 |
SSD | 1TB | 1TB | 1TB | 1TB |
価格(税込) | 264,960円 | 242,720円 | 249,450円 | 234,530円 |
※BTOショップ「サイコム」のゲーミングPC
Ryzen5 7600XはCore i5-13600Kより1万円以上安いはずだが、搭載PCの価格ではRyzen5 7600Xのほうが高額だ。
モデル1とモデル3のマザーボードはハイグレードで、モデル2とモデル4のマザーボードはエントリークラスになっている。加えて、モデル4はDDR4なので更に安い。
エントリークラスのRyzen5 7600X搭載PCと、ハイグレードのCore i5-13600Kを比べてようやくRyzen5 7600Xのほうが安くなる程度であり、Ryzen5 7600X搭載PCの価格が高いことがわかる。
Ryzen5 7600X搭載のゲーミングPCをBTOから紹介
Ryzen5 7600X搭載のゲーミングPCを、おすすめのBTOショップから紹介する。
おすすめ1:高品質なサイコムのスタンダードモデル×Ryzen5 7600X

G-Master Spear X670A | |
---|---|
セール期間 | ~11月26日 ~1月8日 |
CPU | AMD Ryzen5 7600X(要変更) |
GPU | GeForce RTX4060(変更可) |
メモリ | 16GB(8GB×2) DDR5-4800 |
ストレージ | 1TB M.2 NVMe SSD |
価格(税込) | 251,920円 |
※パーツのカスタマイズで迷ったらサイコムのゲーミングPCでできるおすすめカスタマイズを紹介を参照すると良い
おすすめ1は、高品質なパーツを搭載していることで人気のあるサイコムのゲーミングPCだ。
高品質なパーツを搭載しているということは、冷却性や耐久性に優れていて寿命が長い傾向にあるということだ。
「せっかくゲーミングPCを買うなら、品質にこだわって長く使えるものが欲しい!」という人におすすめのモデルだ。
おすすめ2:品質と価格のバランスを重視したツクモのRyzen5 7600X搭載モデル

G-GEAR GA7A-F231/XB | |
---|---|
セール期間 | – |
CPU | AMD Ryzen5 7600X(要変更) |
GPU | GeForce RTX4070(変更可) |
メモリ | 32GB(16GB×2)(DDR5-4800) |
ストレージ | 1TB(M.2 NVMe SSD) |
価格(税込) | 265,800円 |
※パーツのカスタマイズで迷ったらツクモのゲーミングPCでできるおすすめカスタマイズを紹介を参照すると良い
おすすめ2は、PCパーツショップとしても有名なツクモのゲーミングPCだ。
ツクモのゲーミングPCは、全てではないが一部のパーツ情報が公開されていて、ある程度品質が担保されているという特徴がある。
品質×価格のバランスを重視したい人は必見のモデルだ。
Ryzen5 7600Xの性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、Ryzen5 7600Xの性能ベンチマークを比較し、搭載ゲーミングPCを紹介した。
Ryzen5 7600Xについて振り返ると以下の通り。
- Ryzen5 7600Xは、ゲーミングPC全体として高額になるため、エントリークラス向けと思わないほうが良い
- Ryzen5 7600Xは、ゲーム性能が欲しい人向けであり、クリエイティブ作業には向いていない
- Ryzen5 7600Xは、新CPUが出るたびに自分で交換するようなゲーマー向けのCPU
Ryzen5 7600Xは、将来性に投資でき、自分でパーツをいじるようなゲーマーだけにおすすめのCPUだ。
≫おすすめのRyzen5 7600X搭載PCを見てみる
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- Cinebench R23:https://www.cpu-monkey.com/ja/
- Blender:https://opendata.blender.org/
- V-Ray:https://www.chaos.com/vray/benchmark
- PCMark10:https://www.3dmark.com/