「Ryzen9 7900X3DってゲーミングCPUでゲーム性能が高いらしいけど、実際どんな感じなの?」って人に読んでほしいページです。
CPUを選ぶときに、他の似たようなCPUと何が違うのかがわからない人は多い。
このページでは、Ryzen9 7900X3Dの性能をRyzen9 7950X3DやCore i9-13900Kなどと比較している。
このページを読めば、Ryzen9 7900X3Dがどれほどの性能を持ち、自分に合っているCPUなのかどうかがわかるだけでなく、おすすめのRyzen9 7900X3D搭載PCまで知ることができる。
Ryzen9 7900X3Dはゲーム×クリエイティブ×価格のCPU
R9 7900X3D | R9 7900X | R9 7950X3D | R7 7800X3D | i9-13900K | |
---|---|---|---|---|---|
コア数(P/E) | 12コア | 12コア | 16コア | 8コア | 8コア/16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 24スレッド | 32スレッド | 16スレッド | 32スレッド |
定格クロック(P/E) | 4.4GHz | 4.7GHz | 4.2GHz | 4.2GHz | 3.0/2.2GHz |
最大クロック(P/E) | 5.6GHz | 5.6GHz | 5.7GHz | 5.0GHz | 5.4/4.3GHz |
L2/L3キャッシュ | 12MB/128MB | 12MB/64MB | 16MB/128MB | 8MB/96MB | 32MB/36MB |
PCI-Express (Gen/レーン) | 5.0/24レーン | 5.0/24レーン | 5.0/24レーン | 5.0/24レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
基本消費電力 | 120W | 170W | 120W | 120W | 125W |
Ryzen9 7900X3Dの最大の特徴はゲーム性能であり、クリエイティブ性能と価格も重視したい人向けのCPUだ。
Ryzen9 7900X3Dは「3D V-Cache」によって高いゲーム性能を誇るだけでなく、12コアというコアの多さでクリエイティブ用途にも対応できるという特徴を持つ。
8コアと16コアの中間なので悪く言えば中途半端なCPUだが、良く言えば性能と価格のバランスが取れているということだ。
あくまでメインはゲーム性能であり、クリエイティブ性能と価格のバランスも重視したい人向けとなっている。
3D V-Cacheによって高いゲーム性能を誇る
Ryzen9 7900X3Dには「3D V-Cache」という追加のL3キャッシュ(=CPUの処理を補佐するデータ保管庫)が搭載されている。3D V-Cacheによって、ゲームのフレームレートを高めることができる。
ゲームではプレイヤーが次にどんな行動を取るのかが予測できず(コンピュータから見て予測できないという意味)、行動の度に新しいテクスチャーやサウンドなどをロードしなければならない。
L3キャッシュ容量が少ない場合、L3キャッシュより10倍ほど遅いメインメモリまでデータを取りに行く必要があり、時間がかかってしまう。
3D V-Cacheによって大量のデータをL3キャッシュに置いておけるので、プレイヤーの不意の行動にも対応しやすく、フレームレートが向上するというわけだ。
Ryzen9 7900X3Dの性能ベンチマークスコアを比較
R9 7900X3D | R9 7900X | R9 7950X3D | R7 7800X3D | i9-13900K | |
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PassMark | 50660 100% | 52319 103% | 62627 124% | 34851 69% | 59964 118% |
Cinebench シングル | 2039 100% | 2034 100% | 2043 100% | 1811 89% | 2241 110% |
Cinebench マルチ | 27084 100% | 29306 108% | 38571 142% | 17762 66% | 39652 146% |
※PassMarkはCPUの総合性能。シングルスコアはコア1つぶんの性能であり、ゲーム性能に近い。マルチスコアは全コアの性能であり、クリエイティブ性能に近い。
Ryzen9 7900X3DはRyzen9 7900Xより性能が低い。Ryzen9 7900X3Dは3D V-Cacheによる発熱問題をクリアするために、Ryzen9 7900Xよりクロックが低く設定されている。そのためマルチスコアで8%の差をつけられている。
3D V-Cacheの効果はベンチマークに表れないので、ベンチマーク上ではRyzen9 7900Xの劣化版となってしまっている。
Ryzen9 7950X3DやCore i9-13900Kと比べると、マルチスコアで40~50%程度の差をつけられている。特にRyzen9 7950X3Dにはコア数以上のスコア差をつけられているのは残念だ。
Ryzen9 7900X3Dはクロックの低さと12コアという中途半端なコア数から、マルチ性能を重要視したい人には向いていない。
Ryzen9 7900X3Dのゲーム性能を比較
R9 7900X3D | R9 7900X | R9 7950X3D | R7 7800X3D | i9-13900K | |
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Cyberpunk 2077 | 118 | 109 | 119 | 118 | 121 |
Hogwarts Legacy | 86 | 72 | 86 | 84 | 82 |
Forza Horizon 5 | 249 | 221 | 268 | 264 | 256 |
Microsoft Flight Simulator | 113 | 108 | 137 | 135 | 107 |
Horizon Zero Dawn | 260 | 224 | 271 | 272 | 221 |
平均 | 165.2 | 146.8 | 176.2 | 174.6 | 157.4 |
割合 | 100%(基準) | 89% | 107% | 106% | 95% |
※RTX4090、フルHD
Ryzen9 7900X3Dのゲーム性能は非常に高いが、他のX3Dモデルと比べるとやや劣る。
Ryzen9 7900X3DはRyzen9 7900Xに11%の差をつけていて、競合IntelのCore i9-13900Kにも5%勝っている。3D V-Cacheの効果が強力であることがわかる。
ただし、同じく3D V-Cacheを搭載するRyzen9 7950X3DやRyzen7 7800Xには負けてしまっている。格下であるはずのRyzen7 7800X3Dにも6%の差をつけられていて、ゲームによっては大差がついている。
Ryzen9 7900X3Dには3D V-Cacheの恩恵を受けられるコアが6個しかないことがパフォーマンスの低下を招いている。Ryzen9 7950X3DやRyzen7 7800X3Dは8コアなので、コア数の差でパフォーマンスに開きが出ていると見て良い。
Ryzen9 7900X3DはゲーミングCPUとはいえ、ゲーム性能、マルチ性能、価格(後で解説)のすべてを妥協したくない人向けのCPUであり、悪く言えば突出したものがなく中途半端、良く言えばバランスタイプというわけだ。
›おすすめのRyzen9 7900X3D搭載PCを見てみる
Ryzen9 7900X3Dのクリエイティブ性能を比較
R9 7900X3D | R9 7900X | R9 7950X3D | R7 7800X3D | i9-13900K | |
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Blender | 415 100% | 429 103% | 551 133% | 278 67% | 516 124% |
V-Ray | 21510 100% | 22143 103% | 28539 133% | 14285 66% | 25689 119% |
PCMark10 画像編集 | 25474 100% | 26085 102% | 28964 114% | 25099 99% | 24977 98% |
PCMark10 動画編集 | 8035 100% | 8035 100% | 8346 104% | 8176 102% | 8847 110% |
VRMark オレンジルーム | 15282 100% | 16419 107% | 15827 104% | 17345 113% | 17553 115% |
Ryzen9 7900X3Dはクリエイティブ性能も中途半端だ。
画像編集や動画編集では、他CPUと同等かやや負けくらいのスコアだが、コア数が重要になりやすいBlenderやV-RayではRyzen9 7950X3DとCore i9-13900Kに負けている。
とはいえ、Ryzen9 7900X3Dより高クロックなRyzen9 7900Xと同等のクリエイティブ性能なのは褒めるべきところだ。
Ryzen9 7900X3Dのクリエイティブ性能は高いが、最高クラスではないという意味で中途半端な印象を受ける。
Ryzen9 7900X3Dの価格やコスパを比較
R9 7900X3D | R9 7900X | R9 7950X3D | R7 7800X3D | i9-13900K | |
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価格 | 7.2万円 | 5.5万円 | 9.9万円 | 5.0万円 | 8.8万円 |
コスパ (ゲーム) | 22.94 | 26.69 | 17.80 | 34.92 | 17.89 |
コスパ (ベンチ) | 0.70 | 0.95 | 0.63 | 0.70 | 0.68 |
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=PassMark÷価格(円)
Ryzen9 7900X3Dはコスパ面でもバランスタイプだ。突出して高コスパではないが、低コスパでもない。
3D V-Cacheの影響が反映されないベンチマークにおいて、Ryzen9 7900X3Dは2番目に高いコスパだ。値下がりによって、ベンチマークでもコスパが改善されている。
Ryzen9 7900Xがゲームでもベンチマークでも高コスパだが、仕方がない。Ryzen9 7900XはCPU全体で見てもかなり高コスパな部類だ。
Ryzen9 7900X3Dは、ゲーム性能、クリエイティブ性能、価格のすべてを妥協したくない人向けのCPUとなっている。
›おすすめのRyzen9 7900X3D搭載PCを見てみる
Ryzen9 7900X3D搭載のおすすめゲーミングPCをBTOから紹介
おすすめ1 | |
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外観 | |
特徴 | 品質重視 |
CPU | Ryzen9 7900X3D |
グラボ | RTX4060(変更可) |
価格(税込) | 316,240円 |
Ryzen9 7900X3Dを搭載しているゲーミングPCは、現在BTOショップではほとんど扱われていない。候補が非常に少なくなることに注意。
おすすめ1:高品質なサイコムのスタンダードモデル×Ryzen9 7900X3D
G-Master Spear X670A | |
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セール期間 | ~4月30日(セール情報記事) |
CPU | AMD Ryzen9 7900X3D(要変更) |
GPU | GeForce RTX4060(変更可) 参考:グラボの選び方を見る |
メモリ | 16GB(8GB×2) DDR5-4800 |
ストレージ | 1TB M.2 NVMe SSD |
価格(税込) | 316,240円 |
※パーツのカスタマイズで迷ったらサイコムのゲーミングPCでできるおすすめカスタマイズを紹介を参照すると良い
おすすめ1は、高品質なパーツをふんだんに採用していることで、PC玄人からの人気が高いサイコムのゲーミングPCだ。
大手BTOとは違い、搭載パーツのメーカーや型番が公開されていて、冷却性・静音性・耐久性が売りとなっている。
性能だけでなく品質や信頼性も重視したい人は必見だ。
Ryzen9 7900X3Dに関してよくある質問
- Ryzen9 7900X3Dと組み合わせるのにおすすめのグラボは?
- Ryzen9 7900X3Dのソケット、対応マザーボードは?
Ryzen9 7900X3Dと組み合わせるのにおすすめのグラボは?
3DMark | GPUメモリ | |
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RTX4070Ti Super | 24400 | 16GB |
RTX4080Super | 28492 | 16GB |
RTX4090 | 35964 | 24GB |
Ryzen9 7900X3Dはかなり高性能なCPUなので、グラボも高性能なものを選びたい。RTX4070Ti Super以上の性能は欲しいところだ。
Ryzen9 7900X3Dのソケット、対応マザーボードは?
Ryzen9 7900X3DのソケットはAM5で、AMD600シリーズのマザーボードに対応している。
BTOでは、プレミアムなX670Eや高コスパなB650が採用されていることが多い。ハイエンドのRyzen9 7900X3Dだと、X670EやX670でも良いだろう。
なお、前世代のRyzen5000シリーズのソケットはAM4なので互換性はない。
Ryzen9 7900X3Dの性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、Ryzen9 7900X3Dの性能ベンチマークを比較し、搭載ゲーミングPCを紹介した。
Ryzen9 7900X3Dについて振り返ると以下の通り。
- Ryzen9 7900X3Dはゲーム×マルチ性能×価格のCPU
- Ryzen9 7900X3Dは高いゲーム性能と、12コアというコアの多さが特徴
- Ryzen9 7900X3Dは、ゲーマー兼クリエイターにおすすめ
Ryzen9 7900X3Dは、値下がりによってRyzen9 7950X3Dと差別化され、手に取りやすいCPUとなった。
ゲーマー兼クリエイターのような、3D V-Cacheとコア数のどちらも活かせるような人におすすめだ。
≫おすすめのRyzen9 7900X3D搭載PCを見てみる
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- PassMark:https://www.cpubenchmark.net/
- Cinebench R23:https://www.cpu-monkey.com/ja/
- Blender:https://opendata.blender.org/
- V-Ray:https://www.chaos.com/vray/benchmark
- PCMark10:https://www.3dmark.com/