
「ゲーミングPCを買おうと思ってるんだけど、メモリってパーツの容量はいくらにすれば良いの?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- メモリはPCの作業スペースのようなパーツ
- 16GBと32GBの選択の仕方
- デュアルチャネルや規格について
- メモリ容量の不足について
メモリは地味だが、特にゲーミングPCでは大事なパーツだ。このページを読めば、メモリについて理解し、自分に合ったメモリ容量を選んで、過不足ないゲーミングPCに仕上げることができる。
メモリとはPCの作業スペースようなパーツ
メモリがどんなパーツなのかを辞書的に説明すると「データを一時的に保存しておくことで、処理速度を速めてくれるパーツ」だ。これでもぼんやりとはイメージできるが、イマイチ何を言っているのかわからない。
そこでたとえを使って説明しよう。
この話を読んで「不便だね。机がもう少し広ければいちいち参考書を取り出す必要がないのに」と思ったはずだ。
全くその通りであり、机が広ければ参考書Aを机の上に置いておき、わからないところがあればすぐに参考書Aを確認できる。しかも参考書Aだけでなく参考書BやCも一緒に机に置いておける。
そしてこの机がメモリに該当する。机の広さがメモリ容量だ。図にすると以下の通り。
机が広ければ参考書を大量に置けるし、大きい図鑑なんかも置くことができる。
同様に、メモリ容量が多ければたくさんのアプリやソフトを同時に使えるし、高負荷のかかるゲームをプレイすることができるというわけだ。
全メモリ容量を使えるわけではないことに注意
例えば16GBのメモリを搭載しているからと言って、16GBすべてを使えるわけではない。
使用メモリがギリギリになってしまうと、PCの動作が遅くなってまともに操作できなくなる。机いっぱいに参考書を広げすぎて、手が少し当たっただけで床に落ちてしまうような不安定な状態だ。
また、PCを起動した時点で裏で動いているソフトがメモリを使用している。勉強を始めようと思った時点で机の上にノートと問題集があるのと同じだ。
私の場合はゲームをしていないときでも普段から7GBほどのメモリを消費している。
これらを加味すると、使用できるメモリ容量は全容量の6割程度になると思っておいた方が良い。
ストレージと混同しないように注意
PC初心者の中にはストレージとメモリを混同してしまっている人がいる。ストレージとは記憶領域のことで、「スマホの容量がなくてアプリを入れられない」と言うときの「容量」はストレージを指している。
スマホを使っていればわかるように、ストレージはソフトやアプリ・写真などを半永久的に入れておくためのもので、PCの電源を落としても中のデータが消えることはない。
インストールしたり保存したりしたデータはすべてストレージに保存される。
一方でメモリは作業をスムーズに行うためのものであり、PCの電源を落とせばメモリに記憶されたデータは消える。(勉強が終わったら使った参考書を本棚に片付けるように。参考書自体がなくなるわけではない)
ストレージとメモリは同じGBという単位を使うことが多いし、名前も紛らわしいため混同してしまいがちだが、似て非なるものなので注意しよう。
ゲーミングPCに搭載するメモリは16GBか32GBがおすすめ
ゲーミングPCに搭載するメモリは16GBが標準だ。一般的なPCだと4~8GBが多いが、ゲーミングPCでは足りない。8GB以上のメモリを使用するゲームが多いからだ。
そのため、ゲーミングPCには16GB以上のメモリを搭載する。最近では16GBのメモリを要求してくるゲームも増え、余裕を持たせるために32GB搭載するケースも増えている。
実際「ドスパラ」がTwitter上で行ったアンケートによると50%が16GB、30%が32GBのメモリを搭載していた。
ゲームの推奨要件から見るメモリ容量
「PCゲーム おすすめ」などで検索して出てきたゲームを中心に推奨メモリ容量を調べた。以下の表はその一覧だ。
ゲーム名 | メモリ(GB) |
Age of Empires Ⅳ | 16 |
Apex Legends | 8 |
ARK: Survival Evolved | 8 |
ARMA3 | 8 |
Assassin’s Creed Odyssey | 8 |
BattlefieldⅤ | 12 |
Borderlands 3 | 16 |
Call of Duty Modern Warfare | 12 |
Cities:Skylines | 6 |
CODE VEIN | 8 |
CSGO | 2 |
DARK SOULS Ⅲ | 8 |
DayZ | 12 |
Dead by Daylight | 8 |
DEKARON | 2 |
DOOM Eternal | 16 |
DOTA2 | 4 |
ELYON | 16 |
Euro Truck Simulator 2 | 4 |
Fallout 76 | 8 |
FARCRY 5 | 8 |
Farming Simulator 19 | 8 |
FIFA21 | 8 |
FINAL FANTASY14 | 8 |
FINAL FANTASY15 | 16 |
Fortnite | 8 |
Frostpunk | 8 |
Grand Theft AutoⅤ | 8 |
Hearthstone | 4 |
Hunting Simulator | 8 |
Killing Floor 2 | 4 |
Kingdom Come: Deliverance | 16 |
League of Legends | 4 |
Left 4 Dead 2 | 2 |
Legends of Runeterra | 4 |
LOST ARK | 16 |
Minecraft | 8 |
Moonlighter | 8 |
NieR:Automata | 8 |
Overwatch | 6 |
PAYDAY 2 | 8 |
PUBG | 16 |
Red Dead Redemption2 | 12 |
Rocket League | 8 |
Sekiro:Shadows Die Twice | 8 |
Sid Meier’s Civilization VI | 8 |
SMITE | 4 |
Team Fortress2 | 1 |
Teamfight Tactics | 4 |
The Elder Scrolls Ⅴ:Skyrim | 4 |
The Sims 4 | 4 |
The Witcher 3: Wild Hunt | 8 |
theHunter: Call of the Wild | 8 |
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege | 8 |
UNDERTALE | 3 |
VALORANT | 4 |
Visage | 8 |
War Thunder | 16 |
WARFRAME | 4 |
Watch Dogs 2 | 8 |
Winning Post 9 2021 | 4 |
World of Warships | 6 |
ストリートファイターV | 8 |
デイメア:1998 | 8 |
ドラゴンクエストⅩ | 3 |
モンスターハンターワールド | 8 |
黒い砂漠 | 8 |
三國志14 | 8 |
信長の野望・大志 | 2 |
絶体絶命都市4Plus | 8 |
太閤立志伝 | 4 |
天穂のサクナヒメ | 6 |
これをわかりやすくまとめると以下のようになる。
要求メモリ容量 | ゲーム数 | 割合(四捨五入済み) |
~6GB | 25 | 34.7% |
8GB | 34 | 47.2% |
12~16GB | 13 | 18.1% |
8GBのメモリでプレイできるゲームは34.7%しかない。残りの65.3%のゲームは16GB以上のメモリがあったほうが安全だ。
無視できないのは12~16GBを要求するゲームが18.1%もあることだ。グラフィックが売りのゲームは要求メモリ容量が多い傾向にある。これらのゲームは16GBのメモリでも快適にプレイできない可能性がある。つまり32GBのメモリ容量が必要ということだ。
ゲーム用途であれば、32GBより多くする必要性はない。16GBか32GBが候補になる。
16GBと32GB、どっちのメモリ容量を選べば良い?
ゲーミングPCに搭載するメモリは16GBか32GBの二択になる。正直言って、どちらを選べきかは「人による」としか言いようがない。ただそれだと参考にならないので、ざっくりとした選び方を紹介する。
16GBのメモリを選ぶべき人
- eスポーツ系のゲームをプレイする人
- RTX3060Ti以下のグラボを選ぶ人
フォートナイトやApexのようなeスポーツ系のゲームは、要求スペックがそこまで高くない。メモリ16GBもあれば十分だ。
RTX3060Ti以下のグラボは高負荷がかかるような使い方やゲームに向いていない。32GBのメモリを必要とするゲームや作業はRTX3060Ti以下にはそもそもふさわしくないことが多いのだ。そのため、RTX3060Ti以下のグラボなのであれば、メモリは16GBで良い。
32GBのメモリを選ぶべき人
- 美麗グラフィックを重視したゲームをプレイする人
- RTX3070以上のグラボを搭載する人
- PCゲームをしながら配信をしたい人
- 動画編集などのクリエイティブ作業をする人
RTX3070以上のグラボであれば、WQHD解像度でのプレイも現実的でグラフィック重視のゲーム向きとなっている。そのような美麗ゲームはメモリ使用量が大きくなる傾向にあるため、32GBあると安心だ。
PCゲームの配信を考えている人は32GBあったほうが良い。16GBだと容量が足りず、ゲームや配信がカクついてしまう可能性が高い。
同様に、動画編集などのクリエイティブ作業をするのであればメモリ容量が多いほうが作業がスムーズに捗りやすい。
フルHDで普通にゲームをするだけでなく、フルHDでのゲーム+αで何かをする人であれば32GBのメモリを搭載したほうが良い。
シングルチャネル・デュアルチャネルとは
- ○GB×1:シングルチャネル
- □GB×2:デュアルチャネル
例えば16GBのメモリの場合。16GB×1がシングルチャネルで8GB×2がデュアルチャネルだ。
一見同じだが、シングルチャネルよりデュアルチャネルのほうがデータ転送速度が速い。なのでデュアルチャネルにしたほうが良い。BTOショップでは基本的にはデュアルチャネルになっている。
これはよく道路を走っている車に例えられる。交通量が同じ場合、一車線より二車線のほうが渋滞が起きにくくスムーズに走れるだろう。メモリも同じだ。
ちなみに×4のクアッドチャネルというのもあるが、ほとんどの人には関係ないため気にしなくて良い。
別のページでチャネルに関する詳しい話をしている。興味があれば見てみると良い。
≫シングルチャネルとデュアルチャネル、ゲーミングPCのメモリはどっちにすべき?
メモリの規格はDDR4が主流
メモリにはDDR3、DDR4、DDR5というように規格がある。数字が大きいほどデータの転送速度が高く、性能が良い。
最新の規格はDDR5だが、BTOショップでの主流はいまだDDR4だ。というのも、DDR5はDDR4に比べてほんのわずかにゲーム性能が向上する傾向にあるものの、それ以上に価格が高いからだ。
ちなみに、BTOショップでゲーミングPCを買う時はほぼ気にしなくて良いが、それぞれの規格には互換性がない。DDR4のメモリをDDR5のメモリに付け替える、というようなことはできない。
DDR4とDDR5の詳しい違いについては以下のページで解説している。興味のある人は読むと良い。
≫DDR4とDDR5のどっちを選ぶ?ゲーム性能の違いを解説
メモリ容量が不足するとどうなる?
搭載しているメモリ容量に見合わない作業をすると、ゲーミングPCが目に見えて重くなる。私が事故でメモリ使用量100%になったときには、マウスカーソルを動かすのにも一苦労した。1つ1つの動作が限りなく重くなり、PCを使うことができなくなると言って良い。
メモリではなくCPUやグラボの性能が足りずにPCが重くなるというパターンもあるが、タスクマネージャーを開けば各パーツの使用量を見ることができるので参考にすると良い。(Windows11では、タスクバー上で右クリックをすることでタスクマネージャーを選択できる)
メモリ容量不足で自分がしたいことができないという場合はメモリを増設しよう。
メモリを増設する前にやるべきこと
メモリを増設する前にやるべきことを紹介する。この内容を無視してしまうと、「メモリを買ったものの使えなかった。意味がなかった」という事態になりかねない。
タスクマネージャーを開いて使用しているメモリを確認
Windows11では、画面下のタスクバー上で右クリックをするとタスクマネージャーを開くことができる。もし「タスクマネージャー」が出てこない場合はタスクバー上の検索窓で検索しよう。
タスクマネージャーを開いたら、「パフォーマンスタブ」の「メモリ」をクリックしよう。見ておきたいところは以下の通り。
- スロットの使用
- 速度
- フォームファクター
もしこの部分が見切れている場合は、タスクマネージャーのウインドウを大きくしよう。
「スロットの使用」で空きスロットの数がわかる
「スロットの使用」の2/4は、メモリスロットが全部で4つあり、そのうち2つを使用しているということを表している。つまり空きがあるということだ。
また、搭載されているメモリの総量が32GBと書いているので、16GB×2のデュアルチャネルであることも確認できる。
つまり16GBのメモリを選べば良いということだ。
「速度」でメモリの規格がわかる
「速度」の部分を見ると3200MHzとなっているので、DDR4-3200という規格のメモリが搭載されていることが分かる。ただし、例えば2666MHzの場合はDDR3-2666なのかDDR4-2666なのかわからないことに注意。(Intel第6世代以降のCPUであればDDR4)
つまりここまでで、16GBでDDR4-3200のメモリを選べば良いとわかる。
「フォームファクター」でメモリの形状がわかる
「フォームファクター」とはメモリの形状を表すもので、デスクトップPCであれば多くの場合DIMMだ。ノートPCであればS.O.DIMMとなっている。形状が違うとスロットに挿せない。
つまりこの時点で、メモリスロットに空きがあるので増設可能で、DDR4-3200でDIMM、16GBの2枚組になっているメモリを購入すれば良いということがわかる。(これでメモリスロットはすべて埋まり、16GB×4になる。16GB×3でも良いが、偶数枚にすることが多い)
CPU-Zでメモリ詳細を調べておくとなお良い
CPU-Zというフリーソフトを使えば、メモリだけでなく搭載しているパーツの状態を確認できる。CPU-Zは、有名BTOショップであるドスパラが紹介しているほど定番のソフトだ。
公式サイトで以下の手順を踏めばインストールできる。
- 「CLASSIC VERSIONS」にある「SETUP・ENGLISH」をクリック
- 「DOWNLOAD CPU-Z」にある「DOWNLOAD NOW!」をクリック
- インストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールする
他のさまざまなソフトと同じ手順なのでここでは詳しく解説しない。
インストールしたCPU-Zを開いたら、「SPD」タブをクリック。SPDとはメモリの詳細情報のようなものだ。
これを見ると、搭載しているメモリの規格がDDR4-3200で、Kingston製であることがわかる。また、その下にある「Part Number」を見ればメモリの型番を知ることもできる。
既に使っているメモリのメーカーや型番と同じものを買う必要性はないが、同じものを買ったほうが不具合のリスクが低いので安全だ。
ゲーミングPCに搭載するメモリ容量まとめ
- メモリはPCの作業スペース
- 軽いゲームなら16GB、重いゲームや配信をするなら32GB
- デュアルチャネルにする
このページでは、ゲーミングPCに搭載するメモリの容量について主に解説した。どれくらいの容量を搭載すれば良いのかがわかったはずだ。
メモリ以外にゲーミングPCについてわからないことがあるなら以下のページを参照してほしい。ゲーミングPC選びの役に立つ。
≫初めてのゲーミングPCの選び方!初心者の「わからない」を解消!