「ゲーミングPCが欲しいんだけど、電源ってどうやって選べば良いんだろ?性能には関係なさそうだし、適当に選んで良いのかな?」って人に読んでほしいページです。
このページの内容は以下の通り。
- 電源ユニットの役割
- 電源ユニットの選び方
電源ユニットはゲーミングPCのパーツの中でも壊れやすい一方、重要な役割を担っているパーツだ。
このページを読めば、電源ユニットの選び方が分かり、電源ユニット選びで失敗するリスクを減らすことができるようになる。
ゲーミングPCにおける電源ユニットの役割
電源ユニットは「ゲーミングPCの心臓」と呼ばれる重要パーツだ。
コンセントから取り込んだ電力を、ゲーミングPCの各パーツに行きわたらせる役割を担っている。
十分な電力が供給されない場合、各パーツは十分な力を発揮できない。電源ユニットは非常に重要なパーツなのだ。
ゲーミングPCを使っているときは常に電源ユニットが稼働しているので、最も壊れるリスクが高いパーツの1つでもある。
電源ユニットは性能には直結しないが、決して無視できないパーツなのだ。
BTOのゲーミングPCであれば電源ユニットを気にかけなくて良い
BTOでゲーミングPCを買う場合、電源ユニットを気に掛ける必要性は薄い。構成に合った電源ユニットを、BTO側が標準搭載してくれているし、品質も担保されているからだ。
例えば、10年ほど前まではマウスコンピューターの電源ユニットは低品質だと言われていた。しかし今では改善されている。
定番のBTOであれば、低品質な電源が搭載されていることはないと思って良い。
どうしても高品質な電源ユニットにしたいなら、メーカーが記載されているものにカスタマイズすれば良い。高品質な有名メーカーの電源の場合、メーカーが記載されているからだ。
BTOでは選べる電源ユニットの幅も狭いので、電源ユニットに関する知識はほぼ必要ない。
›BTOパソコンのおすすめカスタマイズを紹介
ゲーミングPCに搭載する電源ユニットの選び方
電源ユニットを選ぶ際のポイントは以下の9つだ。
そのゲーミングPCの消費電力の2倍の容量にする
電源ユニットを選ぶ際には、ゲーミングPCの消費電力の2倍の容量を持つ電源ユニットを選ぶのが定番だ。
例えば消費電力が300WのゲーミングPCであれば、600W程度の電源ユニットが望ましい。
ゲーミングPCの消費電力は、CPUとグラボがほとんどを占める。
主流なCPUとグラボの基本消費電力は以下の通り。
i5-13400 i7-13700 R5 5600X R7 5700X | R5 7600X R7 7700X | R7 7800X3D R9 7900X3D R9 7950X3D | i5-14600K i7-14700K i9-14900K | i9-13900KS | R9 7900X R9 7950X | |
---|---|---|---|---|---|---|
RTX4090 | 515W | 555W | 570W | 575W | 600W | 620W |
RTX4080 | 385W | 425W | 440W | 445W | 470W | 490W |
RTX4070Ti | 350W | 390W | 405W | 410W | 435W | 455W |
RTX4070 | 265W | 305W | 325W | 330W | 355W | 375W |
RTX4060Ti | 225W | 265W | 285W | 290W | 315W | 335W |
RTX4060 | 180W | 220W | 235W | 240W | 265W | 285W |
この表の2倍近くの容量を持つ電源ユニットを選べば良い。
「基本消費電力が300Wなら電源ユニットも300Wくらいで良いのでは?」と思うかもしれないが、電源容量がギリギリではダメな理由がいくつかある。
使用状況によって容量が足りなくなる可能性がある
基本消費電力ギリギリの電源ユニットを推奨しない理由の1つめは、電力を供給しきれない可能性があるからだ。
ゲーミングPCに高負荷がかかると、消費電力が上がる。
電源ユニットの経年劣化によって供給できる電力が減り、電力が足りなくなるというケースもある。
さらに、パーツを交換・増設した際に、容量が足りずに電源ユニットごと交換しなければならないパターンもある。
消費電力ギリギリの電源ユニットは、容量不足に悩まされることになる。
電源ユニットが劣化しやすくなる
基本消費電力ギリギリの電源ユニットを推奨しない理由の2つめは、電源ユニットが劣化しやすくなるからだ。
常にフルパワーで稼働している場合と、余裕をもって稼働している場合とでは、前者のほうが劣化しやすいのは想像に難くない。
電源ユニットの劣化を遅くするために、容量ギリギリではダメなのだ。
負荷率50%が最も電源効率が良い
基本消費電力ギリギリの電源ユニットを推奨しない理由の3つめは、負荷率50%が最も良い電源効率だからだ。
実は、コンセントから300Wの電力が流れてきたとしても、ゲーミングPCで300Wすべてを使えるわけではない。
コンセントの電力を、ゲーミングPCで使える電力に変換する必要があり、変換時にロスが発生する。
負荷率50%(例:PCの基本電力が300W、電源ユニット容量が600W)のとき、ロスが最も少なくなるため、電力が無駄になりにくいというわけだ。
80PLUS認証取得の電源を選ぶ
電源ユニットを選ぶ際には、80PLUS認証取得の電源にするべきだ。
80PLUS認証とは、優れた変換効率の電源ユニットに与えられる認証だ。
コンセントから300Wの電力が流れてきても、ゲーミングPCで300Wすべてが使えるわけではなく、ロスが発生してしまう。
このロスをなるべく小さくし、PCで使える電力が80%以上になっている電源ユニットには「80PLUS認証」が与えられている。
80PLUS認証にはグレードがあり、電力の変換効率が高い電源ユニットほど高いグレードが与えられている。
負荷率20% | 負荷率50% | 負荷率100% | |
---|---|---|---|
80PLUS STANDARD | 80% | 80% | 80% |
80PLUS BRONZE | 82% | 85% | 82% |
80PLUS SILVER | 85% | 88% | 85% |
80PLUS GOLD | 87% | 90% | 87% |
80PLUS PLATINUM | 90% | 92% | 89% |
80PLUS TITANIUM | 92% | 94% | 90% |
グレードによって電力の変換効率は変わるが、電源の品質自体が変わるわけではない。
無理に高グレードの電源を選ぶ必要はなく、BRONZEやGOLDあたりで十分だ。
なお、負荷率50%時の変換効率が最も優れていることが確認できる。
有名メーカーから選ぶ
電源ユニットを選ぶ際は、有名メーカーから選ぶべきだ。
電源ユニットは「PCの心臓」とも呼ばれるほど重要なパーツであり、電源の不具合は他パーツの不具合を引き起こすからだ。
定番メーカーは以下の通り。
- Antec
- ASUS
- CoolerMaster
- Corsair
- FSP
- NZXT
- Sea Sonic
- SilverStone
- Super Flower
- Thermaltake
- オウルテック
- 玄人志向
候補を挙げすぎた気もするが、これらのメーカーから選べば良い。
デスクトップPCの場合はATX電源を選ぶ
デスクトップPCの場合は、ATX電源を選ぶべきだ。ATX電源とは電源の規格の1つだ。
現在主流な電源の規格は以下の通り。
- ATX電源:デスクトップPCで最も主流
- SFX電源:小型デスクトップPCで使われる
他にもEPS電源、TFX電源、Flex ATX電源などがあるが、一般的なゲーミングPCであればATX電源を選ぶことになる。実際、BTOショップの主流なモデルにはATX電源が搭載されていることが多い。
なお、交換や自作でATX電源を買う場合、電源ユニットの奥行に注意しなければならない。ATX電源は製品によって奥行きがバラバラなので、使用しているケースによっては入らないという可能性がある。
日本製のコンデンサーを採用しているものを選ぶ
電源ユニットを選ぶ際は、日本製のコンデンサーを採用しているものにすべきだ。
コンデンサーとは、電力を貯めておいて、必要に応じて放出できる電源ユニットのパーツだ。ダムのようなものだと思って良い。
電源ユニットが故障する大きな原因の1つが、コンデンサーの故障だ。コンデンサーの品質が高いほど、電源ユニットが壊れるリスクが低い。
高品質で壊れにくい日本製のコンデンサーを採用している電源ユニットを選ぶべきということだ。
特に「日本製105℃コンデンサー」と書かれている電源ユニットは信頼性が高い。
モジュラータイプの電源ユニットを選ぶ
電源ユニットを選ぶ際には、モジュラータイプのものを選んだほうが良い。モジュラータイプとは、ケーブルの仕様の1つだ。
電源ユニットには、各パーツへ電力供給するためのケーブルが付いている。このケーブルには「直結タイプ」と「モジュラータイプ」の2種類がある。
直結タイプは、電源ユニットとケーブルがつながっていて外せないタイプだ。不必要なケーブルまでついているので、ケーブルを収納する必要が出てくる。
一方モジュラータイプはケーブルの着脱が可能なタイプで、必要なケーブルだけをつければ良いので配線を整理しやすい。
ケーブルタイプは電源の品質には関係ないが、ゲーミングPCを組み立てるときの見栄えや手間に関わってくるところだ。
CPU用端子とグラボ用端子の数を見る
電源ユニットを選ぶ際には、CPU用端子とグラボ用端子の数を見なければならない。搭載するCPUやグラボによっては、電源ユニットの端子の数が足りない可能性があるからだ。
どの電源ユニットでも最低限の端子は確保されているが、グレードの高いCPUやグラボを搭載する場合は要確認だ。
搭載するCPUやグラボに必要な電源の端子数を確認したうえで、電源ユニットのCPU用コネクタおよびPCI-Expressコネクタの数と見比べよう。
保証期間が長いほうが良い
電源ユニットを選ぶ際には、保証期間を参考にすると良い。
電源ユニットは壊れやすいパーツなので、保証期間が長いほうが良い。
3~5年保証の電源ユニットが多いが、中には7~10年ほどの製品もある。
保証期間が長いほど製品の品質に自信があるということでもあるので、参考程度に保証期間も見ておきたい。
電源の出力品質をまとめたデータを見ることができる
電源ユニットを選ぶ際には、電源の出力品質のデータを見ておくと良い。
基本的に、PCの構成に合った電源ユニットを有名メーカーから選べば、失敗するリスクは低い。
とはいえ、実際の品質を数字として見たい人もいるはず。そういったこだわり派の人は、電源ユニットの実際の変換効率やノイズの少なさなどをまとめたデータを参考にすると良い。
知識が多少必要で、すべての電源ユニットのデータが記載されているわけではないが、参考になるはずだ。
≫電源の出力品質をまとめたデータを見てみる(https://www.cybenetics.com/index.php?option=power-supplies)
低品質な電源ユニットはゲーミングPCの寿命を縮める
低品質な電源ユニットは、ゲーミングPCの寿命を縮めてしまう。
低品質な電源ユニットとは、変換効率が悪くて発熱しやすかったり、不安定な電流しか供給できないような電源ユニットのことだ。
電源ユニットは熱に弱いため、発熱のし過ぎは電源ユニットの寿命が縮むことにつながる。
熱を冷やすためのファンが激しく回ることで、騒音で悩まされることもある。
不安定な電流がゲーミングPCに行きわたってしまうと、各パーツに悪影響を及ぼすこともある。ドロドロの血液が病気を引き起こすのと同じだ。
無名メーカーの格安電源ユニットはゲーミングPCの寿命を縮めることにつながりかねないため、ケチらずに信頼性の高い電源ユニットを選ぶことをおすすめする。
電源ユニットが故障するとどうなる?
電源ユニットが故障したり、故障が近くなったりすると以下のような症状が出るようになる。
- いきなりシャットダウンする
- PCが起動しない
- 電源ユニットから異音がする
- フリーズしたりブルースクリーンが起きたりする
電源ユニットはゲーミングPCの心臓なので、もし電源ユニットが故障すると、PC全体の不具合につながる。
電源ユニット故障の兆候が見られたら、はやめに買い替えるべきだ。
ゲーミングPCに搭載する電源ユニットの選び方まとめ
このページでは、電源ユニットの選び方を解説した。
電源ユニットの選び方を振り返ると以下の通り。
- 自作で電源ユニットを選ぶ際には気を付けるべきポイントが複数ある
- 低品質な格安電源ユニットはゲーミングPCの寿命低下につながる可能性があるのでおすすめしない
- 有名メーカーの信頼性が高い電源ユニットを選ぶべき
BTOでゲーミングPCを買う場合は、電源ユニットを気にする必要性はあまりない。構成に合った電源ユニットを搭載してくれているし、BTOが厳選した電源ユニットがカスタマイズの候補になっているからだ。
自作の場合は自分で電源を選ばなければならない。電源は性能に直結するパーツではないので疎かにしがちだが、実際は重要パーツなので高品質なものを選ぶべきだ。