
「ゲーミングPCが欲しいんだけど、電源ってどうやって選べば良いんだろ?性能には関係なさそうだし、適当に選んで良いのかな?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- 電源ユニットの役割
- 電源ユニットの選び方
- 電源ユニットに関するあれこれ
電源ユニットはゲーミングPCのパーツの中でも壊れやすい一方、重要な役割を担っているパーツだ。
このページを読めば、電源ユニットの選び方が分かり、電源ユニット選びで失敗するリスクを減らすことができるようになる。
ゲーミングPCにおける電源ユニットの役割
電源ユニットは「ゲーミングPCの心臓」と呼ばれる重要パーツだ。
コンセントから取り込んだ電力を、ゲーミングPCの各パーツに行きわたらせる役割を担っている。
十分な電力が供給されない場合、各パーツは十分な力を発揮できない。だから電源ユニットは非常に重要なパーツなのだ。
それにゲーミングPCを使っているときは常に電源ユニットが稼働しているということなので、最も壊れるリスクが高いパーツの1つでもある。
たしかに電源ユニットは性能には直結しないが、決して無視してはいけないパーツなのだ。
BTOでゲーミングPCを買うなら電源ユニットを気に掛ける必要性は薄い
このブログは基本的に初心者向けに発信しているということもあり、自作ではなくBTOショップでの購入を勧めている。
BTOショップでゲーミングPCを買う場合、実は電源ユニットのことを気にする必要はあまりない。BTOショップ側が適切な電源ユニットを標準搭載してくれているからだ。
数年前まで、例えば有名BTOであるマウスコンピューターの電源ユニットはしょぼいと言われていた。しかし今ではマウスコンピューターの電源ユニットは改善されている。
定番のBTOショップであれば低品質な電源ユニットが搭載されていることはまず無いと思って良い。
BTOショップで買うからといって知識が全くの0で良いわけではないが、軽い知識だけあればOKということを念頭に読み進めてほしい。
ゲーミングPCに搭載する電源ユニットの選び方
電源ユニットを選ぶ際のポイントは以下の9つだ。
- 容量
- 80PLUS認証
- メーカー
- 規格
- コンデンサーがどこの国で作られているか
- ケーブルタイプ
- 端子の数
- 保証期間
- 電源の出力品質
そのゲーミングPCの消費電力の2倍の容量にする
ゲーミングPCの消費電力の大部分を占めるのはCPUとグラボだ。そのため、CPUとグラボの消費電力を見れば必要な電力をおおよそ把握できる。
例えば、 Core i5-12400×RTX3060Tiという構成の基本消費電力は約300Wになる。この場合、2倍の600Wの電源ユニットを搭載すれば良いということだ。
以下は主流CPUとグラボの組み合わせにおける基本消費電力を記した表だ。
Core i5-12400 Core i5-13400 Core i7-12700 Core i7-13700 Ryzen5 5600X Ryzen7 5700X |
Core i7-12700K Core i7-13700K Core i9-12900K Core i9-13900K |
Ryzen5 7600X Ryzen7 7700X Ryzen9 5900X |
Core i9-12900KS Core i9-13900KS |
|
RTX4090 | 515W | 575W | 555W | 600W |
RTX4080 | 385W | 445W | 425W | 470W |
RTX4070Ti | 350W | 410W | 390W | 435W |
RTX3080 | 385W | 445W | 425W | 470W |
RTX3070Ti | 355W | 415W | 395W | 440W |
RTX3070 | 285W | 345W | 325W | 370W |
RTX3060Ti | 265W | 325W | 305W | 350W |
RTX3060 | 235W | 295W | 275W | 320W |
RTX3050 | 195W | 255W | 235W | 280W |
この表の2倍近くの容量を持つ電源ユニットを選べば良い。
「基本消費電力が300Wなら電源ユニットも300Wくらいで良いのでは?」と思うかもしれないが、電源容量がギリギリではダメな理由がいくつかある。
使用状況によって容量が足りなくなる可能性がある
ゲーミングPCに高負荷がかかると消費電力が上がる。もし電源容量が使用電力ギリギリだと、電力を供給しきれない可能性があるのだ。
電源ユニットの経年劣化によって供給できる容量が減り、電力が足りなくなるというケースもある。
また、SSDやHDDといったパーツを増設した際に、電源容量が足りなくなるパターンもある。ゲーミングPCで使用電力が圧倒的に大きいのはCPUやグラボだが、その他のパーツにかかる電力も無視できないのだ。
電源ユニットが劣化しやすくなる
300Wの電源ユニットに常に300Wの電源供給をさせていると、電源ユニットの劣化が早くなる。
常にフルパワーで稼働させている場合と、余裕をもって稼働させている場合とでは、前者の方が劣化しやすいというのは想像に難くない。
電源ユニットに余裕を持たせて劣化のリスクを低くするためにも、容量ギリギリではダメなのだ。
負荷率50%が最も電源効率が良い
実は、コンセントから300Wの電力が流れてきたとしても、ゲーミングPCで300Wすべてが使えるわけではない。
詳しい話は省くが、コンセントの電力をゲーミングPCで使える電力に変換しなければならず、その変換時にロスが発生する。
負荷率50%(例:PCの基本電力が300W、電源ユニット容量が600W)のときが最もロスが少なくなるため、電力を無駄にしにくいというわけだ。
詳しい話は次の「80PLUS認証」の所でしよう。
80PLUS認証取得の電源を選ぶ
コンセントから300Wの電力が流れてきたとしても、ゲーミングPCで300Wすべてが使えるわけではなく、ロスが発生してしまうという話は先ほどした通りだ。
このロスをなるべく小さくし、実際にPCで使える電力が80%以上になっている電源ユニットには「80PLUS認証」が与えられている。(600W電源の場合、480W以上がゲーミングPCで使用できるような電源ユニット)
80PLUS認証にはグレードがあり、電力の変換効率が高い電源ユニットほど高いグレードが与えらている。
各グレードの名前と変換効率は以下の通り。
この表を見れば、負荷率50%のときが最も変換効率が良いことが分かる。そのため、ゲーミングPCで300Wの電力を使う場合は、2倍に値する600Wの電源ユニットが望ましいというわけだ。
負荷率20% | 負荷率50% | 負荷率100% | |
80PLUS STANDARD | 80% | 80% | 80% |
80PLUS BRONZE | 82% | 85% | 82% |
80PLUS SILVER | 85% | 88% | 85% |
80PLUS GOLD | 87% | 90% | 87% |
80PLUS PLATINUM | 90% | 92% | 89% |
80PLUS TITANIUM | 92% | 94% | 90% |
BTOショップのゲーミングPCによく搭載されているグレードはBRONZE,GOLD,PLATINUMだ。それぞれエントリー、ミドル~ハイエンド、超ハイエンドのモデルに標準搭載されている傾向にある。
グレードが高く変換効率が高い電源ユニットを使うことで電力の無駄を減らせるので電気代が浮くというメリットがある。とはいえ年間で数百円~数千円程度なので、そこまでグレードにこだわる必要はない。
価格と変換効率を考えると、GOLDが最もおすすめだ。
有名メーカーから選ぶ
電源ユニットはゲーミングPCの心臓とも呼ばれるほどの重要なパーツなので、信頼性の高い有名メーカーの製品を選んだほうが良い。
何を以って有名メーカーとするかは微妙だが、以下に定番メーカーを挙げておく。
- Antec
- ASUS
- CoolerMaster
- Corsair
- FSP
- NZXT
- Sea Sonic
- SilverStone
- Super Flower
- Thermaltake
- オウルテック
- 玄人志向
候補を挙げすぎた気もするが、これらのメーカーから選べばOKだ。
デスクトップPCの場合はATX電源を選ぶ
現在主流な電源の規格は以下の通り。
- ATX電源:デスクトップPCで最も主流
- SFX電源:小型デスクトップPCで使われる
これ以外にもEPS電源、TFX電源、Flex ATX電源などがあるが、一般的なゲーミングPCであればATX電源を選ぶことになる。実際、BTOショップの主流なモデルにはATX電源が搭載されていることが多い。
なお、交換や自作でATX電源を買う場合、電源ユニットの奥行に注意しよう。ATX電源は製品によって奥行きがバラバラなので、使用しているケースによっては入らないという可能性がある。
日本製のコンデンサーを採用しているものを選ぶ
コンデンサーとは簡単に言えば、電力を貯めて必要に応じて放出できる電源ユニットのパーツだ。ダムのようなものだと思って良い。
電源ユニットが故障する大きな原因の1つが、コンデンサーの故障だ。つまりコンデンサーの品質が高いほど、電源ユニットが壊れるリスクが低いことを意味する。
高品質で壊れにくいと言われている日本製のコンデンサーを採用している電源ユニットを選ぶべきということだ。
特に「日本製105℃コンデンサー」と書かれている電源ユニットは信頼性が高いと思って良い。
モジュラータイプの電源ユニットを選ぶ
電源ユニットには、各パーツへ電力供給するためのケーブルが付いている。このケーブルには2種類のタイプがある。
- 直結タイプ
- モジュラータイプ
直結タイプは、電源ユニットとケーブルがつながっていて外せないタイプだ。不必要なケーブルまでついているので、ケーブルを収納する必要が出てくる。
一方モジュラータイプはケーブルの着脱が可能なタイプで、必要なケーブルだけをつければ良いので配線を整理しやすい。
ケーブルタイプは電源の品質には関係ないが、ゲーミングPCを組み立てるときの見栄えや手間に関わってくるところだ。
CPU用端子とグラボ用端子の数を見る
使用しているCPUやグラボによっては、電源ユニットの端子の数が足りない可能性がある。
基本的にどの電源ユニットでも最低限の端子は確保されているが、K付きのCPUやミドル以上のグラボを使っている場合は注意が必要だ。
自分が使っているCPUやグラボに必要な電源の端子数を確認した上で、電源ユニットのCPU用コネクタおよびPCI-Expressコネクタの数と見比べよう。
保証期間が長いほうが良い
電源ユニットはゲーミングPCの中でも壊れやすいと言われているパーツの1つだ。
ゲーミングPCの使用中は常に電源ユニットが稼働しているので、劣化しやすいのも納得できる。
そのため、電源ユニットの保証期間は長いほうが望ましい。基本的に3~5年保証の物が多いが、中には7~10年ほどの製品もある。
絶対に保証期間が長いものを選べというわけではないが、電源ユニットを選ぶ際の判断材料にしてほしい。
電源の出力品質をまとめたデータを見ることができる
基本的に、有名メーカーの電源ユニットを選んだ上でカタログスペックを見て自分に合う製品を買えば、失敗する可能性は低いと思って良い。
信頼性の高い電源ユニット同士であれば、違いを体感することは難しいのだ。
とはいえ、実際の出力品質がどんな感じなのかが気になる人もいる。そういったこだわり派の人向けに、電源ユニットの実際の変換効率やノイズの少なさなどをまとめたデータを紹介する。
多少知識が必要で、全ての電源ユニットのデータが記載されているわけではないが、参考になるはずだ。
≫電源の出力品質をまとめたデータを見てみる(https://www.cybenetics.com/index.php?option=power-supplies)
しょぼい電源ユニットはゲーミングPCの寿命を縮める
しょぼい電源ユニットとは、変換効率が悪くて発熱しやすかったり、不安定な電流しか供給できないような電源ユニットを指す。
電源ユニットは他のパーツと同じく熱に弱いため、発熱のし過ぎは電源ユニットの寿命が縮むことにつながる。
さらに熱を冷やすためのファンが激しく回ることで、騒音で悩まされることもある。
不安定な電流がゲーミングPCに行きわたってしまうと、各パーツに悪影響を及ぼすこともある。ドロドロの血液が病気を引き起こすのと同じだ。
よくわからないメーカーの格安電源ユニットはゲーミングPCの寿命を縮めることにつながりかねないため、ケチらずに信頼性の高い電源ユニットを選ぶことをおすすめする。
電源ユニットが故障するとどうなる?
電源ユニットが故障したり、故障が近くなったりすると以下のような症状が出るようになる。
- いきなりシャットダウンする
- 起動しない
- 電源ユニットから異音がする
- フリーズしたりブルースクリーンが起きたりする
電源ユニットはゲーミングPCの心臓なので、もし電源ユニットが故障すると、PC全体の不具合につながる。
電源ユニット故障の兆候が見られたら、はやめに買い替えるべきだ。
ゲーミングPCに搭載する電源ユニットの選び方まとめ
- BTOでゲーミングPCを買う場合はそこまで気にしなくて良いが、電源ユニットを選ぶ際に気を付けたいポイントは複数ある
- しょぼい格安電源ユニットはゲーミングPCの寿命低下につながる可能性がある
- 電源ユニットの故障はゲーミングPC全体の不調につながる
このページでは電源ユニットの選び方を主に解説した。
BTOショップでカスタマイズする場合はそこまで気にする必要がないが、買い替えや自作の場合はしっかりと知っておきたい内容だ。
BTOショップにおける電源以外のカスタマイズについては別のページで解説している。他パーツのカスタマイズで悩んでいる人は読むと良い。
≫初心者におすすめのBTOカスタマイズを紹介!満足のいくゲーミングPCにしよう