
「ゲーミングPCを買おうと思ってグラボを見てるんだけど、型番の意味が全く分からないんだよね。アルファベットやら数字やらは何を意味してるの?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- NVIDIA製グラボの型番の見方を解説
- NVIDIA製グラボの性能表の見方を解説
- 自分のPCに載っているグラボの型番を確認する方法を解説
ゲーミングPCに搭載するグラボはNVIDIA社のGeForceが主流だ。そのためNVIDIA GeForceに絞って型番と性能の見方を解説する。
このページを見れば、グラボの型番を見るだけでおおよその性能がわかるようになり、スムーズにゲーミングPCを選べるようになる。
現在主流なグラボ一覧もあるので、ゲーミングPC選びの参考になるはずだ。
NVIDIA製グラボの型番の見方を解説

NVIDIA製グラボの型番は「RTX3060Ti」のように、アルファベットと数字の組み合わせで成り立っている。
RTXが等級、30がシリーズ、60がグレード、Tiが接尾辞というように、それぞれ意味を持っていて、型番を見るだけでおおよその性能がわかるようになっている。
(等級・接尾辞のような用語はどうでも良い)
かなり雑に言ってしまえば、数字が大きくなるほど性能が高いのだが、もう少し詳しく知っておこう。
GTXやRTXはグラボの等級を表す
型番先頭の、等級を表すアルファベットには主に2種類ある。GTXとRTXだ。
GTX=Giga Texel Shader eXtremeの略、RTX=Ray Tracing texel eXtremeの略だ。もちろん覚える必要は全くない。
GTXとRTXの決定的な違いは、レイトレーシングやDLSSに対応しているかどうかだ。
レイトレーシングとは、光の入り方をより現実に近づけることでリアルな描画が可能になる機能。グラフィックが売りのゲームをプレイするときに使いたい。
DLSSとは機械学習によって効率的に描画をすることで、描画にかかる負荷を軽減してフレームレートを向上させる機能のこと。
高画質・高解像度でゲームをしたいときに役に立つ。
現在BTOショップで扱われているグラボは、ほとんどがRTXだ。ごく一部GTXもあって価格も安いが、性能が低くレイトレーシングやDLSSに対応していないためおすすめできない。RTXを選ぼう。
上二桁の数字はグラボのシリーズを表す
番台(販売開始の年) | シリーズ | 例 |
---|---|---|
4000番台(2022年) | RTX40シリーズ | RTX4090 |
3000番台(2020年) | RTX30シリーズ | RTX3080 |
1600番台(2019年) | GTX16シリーズ | GTX1650 |
2000番台(2018年) | RTX20シリーズ | RTX2080 |
1000番台(2016年) | GTX10シリーズ | GTX1080 |
900番台(2015年) | GTX900シリーズ | GTX960 |
上二桁の数字は、グラボのシリーズを表している。「世代」と言ったほうが分かりやすいかもしれない。
RTXであれば、RTX30よりRTX40のほうが新しいシリーズだ。基本的には新シリーズの方が高機能で高性能となっている。
新しいシリーズが発売されると、古いシリーズは段々と生産終了となる。新品で買うのであれば、あえて古いシリーズを選ぶ意味はないので、最新シリーズを知っておこう。
2023年10月時点のBTOショップで扱われているのは、RTX40シリーズと一部のRTX30シリーズだ。
下二桁の数字はグラボのグレードを表す
グレード | 性能 | 例 |
---|---|---|
90 | ハイエンドクラス 4K向け | RTX4090 RTX3090 |
80 | ハイクラス 4K向け | RTX3080 RTX2080 GTX1080 |
70 | ミドルクラス WQHD向け | RTX3070 RTX2070 GTX1070 |
60 | エントリークラス フルHD向け | RTX3060 GTX1660 |
50 | ローエンドクラス フルHD向け | RTX3050 GTX1650 |
下二桁の数字は、シリーズ内でのグレード(序列)を表す。
例えばRTX30シリーズであれば、RTX3090>3080>3070>3060>3050という序列だ。
グレードだけでもおおよその性能を推測できる。
例えば、60番台はフルHD解像度でのゲームプレイに向いていて、70番台はWQHD解像度でのゲームプレイに向いている傾向にある。
グレードが同じであれば、シリーズが新しいほうが高性能だ。
例えば、RTX4070 > RTX3070というように。
多くの人は60番台か70番台から選ぶことになる。
現在主流なグラボの一覧もあるので参考にしてほしい。
末尾につくアルファベットの意味
接尾辞 | 例 |
---|---|
Ti | RTX3080Ti RTX3070Ti |
Super | RTX2080Super GTX1660Super |
グラボの型番の最後に付く接尾辞には「Ti」と「Super」の2つがある。
どちらも無印(接尾辞なし)より性能が高いことを意味しているが、意味合いが異なる。
「Ti」は、性能のバリエーションを増やすためのものだ。
例えばRTX3070Tiは、RTX3070より高性能で、RTX3080より低性能な立ち位置であることを表す。
一方で「Super」は、既存グラボの置き換えモデルとなる。
例えばRTX2080SuperはRTX2080の強化版だが、RTX2080に代わる新モデルだ。つまりRTX2080は徐々に消えていき、RTX2080Superに置き換わっていくということだ。
ちなみに、TiのほうがSuperより性能が高い。RTX2080Ti > RTX2080Superという具合だ。
NVIDIA製グラボの型番の読み方
読み方 | |
---|---|
NVIDIA GeForce | エヌビディア ジーフォース |
RTX4070Ti | アールティーエックス よんまるななまるティーアイ アールティーエックス よんせんななじゅうティーアイ |
RTX4070 | アールティーエックス よんまるななまる アールティーエックス よんせんななじゅう |
RTX40シリーズ (RTX4000シリーズ) | アールティーエックス よんまるシリーズ (アールティーエックス よんせんシリーズ) |
「よんまるななまる」のように数字別に読むと玄人感が出るかも。
NVIDIA製グラボの型番からおおよその性能を知ることができる
NVIDIA製グラボの型番の見方がわかれば、型番を見るだけで大体の性能がわかるようになる。
性能把握のやり方をまとめておこう。
性能の高さ | 例 | |
---|---|---|
GTXかRTXか | RTXのほうが性能が高い傾向にある レイトレーシングやDLSSはRTXでしか使えない | RTX3060>GTX1660 例外)GTX1080>RTX3050など |
上二桁(シリーズ)が同じ場合 | 下二桁(グレード)が大きいほど性能が高い | RTX3080>RTX3070 |
下二桁(グレード)が同じ場合 | 上二桁(シリーズ)が大きいほど性能が高い | RTX4080>RTX3080 |
シリーズもグレードも違う場合 | その時々による。型番からの判断は難しい。 | RTX3070>RTX2080 RTX2080>RTX3060 |
接尾辞が付いている場合 | TiのほうがSuperより性能が高い | RTX2080Ti>RTX2080Super>RTX2080 |
等級が違う場合
GTXとRTXを比べると、RTXシリーズの方が高性能であることが多い。
一部例外もあるが、BTOショップで購入する場合はRTX > GTXと思って良い。
シリーズ(上二桁)が同じ場合
例えばRTX3080とRTX3070の場合。どちらも30シリーズなので、下二桁のグレードで比べる。
RTX3080はハイエンドの80番、RTX3070はミドルの70番なので、RTX3080のほうが性能が高いと判断できる。
グレード(下二桁)が同じ場合
例えばRTX4080とRTX3080の場合。どちらも80番の場合なので、上二桁のシリーズで比べる。
RTX4080は40シリーズで、RTX3080は40シリーズより古い30シリーズなので、RTX4080のほうが性能が高いと判断できる。
シリーズもグレードも違う場合
例えばRTX3070とRTX2080の場合。シリーズもグレードも違う場合は、型番から性能を判断できない。
シリーズで見るとRTX30シリーズであるRTX3070のほうが上だが、グレードで見ると80番であるRTX2080のほうが上だ。
このような場合は型番から性能を比較することはできず、ベンチマークスコアを比べる必要がある。
グラボの型番から性能がわからない場合はベンチマークスコアを見よう
ベンチマークスコアとは、グラボの性能を数値化したものだ。
グラボのパフォーマンスは用途によって異なるので、ベンチマークスコアが絶対ではない。とはいえ、グラボ同士の力関係を知るには便利な指標なので、よく用いられる。
3DMarkスコア | |
---|---|
RTX4090 | 35964 |
RTX4080 | 28066 |
RTX4070Ti | 22652 |
RTX4070 | 17874 |
RTX4060Ti | 13480 |
RTX4060 | 10602 |
RTX3090Ti | 21742 |
RTX3090 | 19838 |
RTX3080Ti | 19581 |
RTX3080 | 17554 |
RTX3070Ti | 14835 |
RTX3070 | 13510 |
RTX3060Ti | 11593 |
RTX3060 | 8703 |
RTX3050 | 6203 |
ベンチマークスコアを見れば、型番からではわからなかったグラボ同士の具体的な差を数値で知ることができる。
シリーズとグレードが違い、型番からでは優劣を判断できない場合でも、ベンチマークスコアを見れば優劣を判断できる。
例えば、RTX4070(17874)とRTX3080(17554)は同等クラスの性能だと分かる。
ただし4K性能ではRTX3080 > RTX4070なので、ベンチマークスコアがいつでも正しいわけではない。あくまで性能の目安であることに注意。
NVIDIA製グラボの性能表の見方
グラボ性能を比べるときに指標となるものを表にした。アーキテクチャやGPUコアなど、性能に直結しないものは省略した。
イメージしづらそうなところは、グラボという工場で働く作業員と、作業を補佐するベルトコンベアで例えた。要するにコアが作業をしてメモリが補佐をするというイメージでOKだ。
プロセス以外は数字が大きいほど性能が高い。数字の大小を比べれば、グラボの性能比較でできるはずだ。
用語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
プロセス | 半導体の回路幅。どれだけ細かく作り込まれているか。 数字が小さいほうが性能が高く電力効率が良い。 | 8nm |
CUDAコア | CUDAとは:NVIDIAが独自に開発した並列計算の実行環境 グラボ上の作業員の数みたいなもの | 8704基 |
RTコア | レイトレーシング処理を行う作業員の数みたいなもの。 多いほうがレイトレーシング性能が高い。 | 第2世代68基 |
Tensorコア | 深層学習に特化した演算を行う作業員の数みたいなもの。 多いほどDLSS性能が高い。 | 第3世代272基 |
ベースクロック | コア(作業員)の作業スピード。 大きいほうが作業がはやく性能が高い。 | 1.44GHz |
ブーストクロック | コア(作業員)が本気を出したときの作業スピード。 大きいほうが作業がはやく性能が高い。 | 1.71GHz |
GPUメモリ | ベルトコンベアへの積載量のようなもの。 多いほどコア(作業員)の作業がはかどるため性能が高い。 | 10GB GDDR6X |
メモリクロック | ベルトコンベアが流れる速さのようなもの。 速いほど作業がはかどるため性能が高い。 | 19Gbps |
メモリバス幅 | ベルトコンベアの幅。 広いほど作業がはかどるため性能が高い。特に4Kのような高負荷時に重要になりがち。 | 320bit |
メモリバス帯域 | 1秒間にベルトコンベアで流せる情報の量 メモリクロック×メモリバス帯域(Byte)で求められる。(1Byte=8bit) | 760GB/s |
TDP | 設計上の最大放熱量≒最大消費電力 | 320W |
現在主流なNVIDIA製グラボを紹介
3DMark | 解像度目安 | GPUメモリ | グラボ価格 | コスパ | 搭載PC価格 | |
---|---|---|---|---|---|---|
RTX4090 | 35964 | ~4K | 24GB | 24.5万円 | 0.147 | 43万円 |
RTX4080 | 28066 | ~4K | 16GB | 17.0万円 | 0.165 | 36万円 |
RTX4070Ti | 22652 | ~WQHD | 12GB | 11.4万円 | 0.199 | 23万円 |
RTX4070 | 17874 | ~WQHD | 12GB | 8.5万円 | 0.210 | 19万円 |
RTX4060Ti | 13480 | フルHD | 8GB/16GB | 5.9万円 | 0.228 | 14万円 |
RTX4060 | 10602 | フルHD | 8GB | 4.4万円 | 0.241 | 13万円 |
※コスパ=3DMark÷グラボ価格
※搭載PC価格は、管理人が確認した限りでのBTOにおける最安値
自分のゲーミングPCに載っているグラボの型番を確認する方法
自分のゲーミングPCにどのグラボが載っているのかを確認する方法を紹介する。
自分のPCに載っているグラボ(チップ)の型番を確認する方法
- タスクバー上で右クリックして「タスクマネージャー」をクリック
- 「パフォーマンス」タブの「GPU」を選択すると、チップの型番が記載されている。
画像の例だと、RTX4060Tiが搭載されていることがわかる。
自分のPCに載っているグラボのメーカーを確認する方法
グラボのメーカーまで知りたい場合は、外部のソフトを使うしかない。ここでは有名なGPU-Zを紹介する。
NVIDIAは半導体メーカーで、RTX4090のような半導体チップを製造している。
MSIやASUSのようなPCパーツメーカーは、NVIDIAから貰った半導体チップに、周りの基盤や冷却ファンを付けたりして、グラボを作っている。
つまり、同じRTX4090であっても、MSI製のRTX4090、ASUS製のRTX4090というように、若干の違いがあるのだ。
些細な違いではあるが、PC玄人はこだわる部分だ。
- TechPower UPの公式サイトに行き、GPU-Zをダウンロード・インストール
サーバー選択は最も近いところで良い。(Closest to youという表記があるところ) - GPU-Zを開く。「Subvendor」がグラボメーカーを示す。「Lookup」をクリックすると、グラボの詳細ページに飛ぶ。
なお、ベンダーがBIOSに登録されていない場合、「NVIDIA」「AMD」などとチップ製造元が記載される。
NVIDIA製グラボの型番と性能の見方まとめ
このページでは、NVIDIA製グラボの型番と性能の見方を解説した。
このページの内容を振り返ると以下の通り。
- NVIDIA製グラボの型番は「等級」「シリーズ」「グレード」「接尾辞」の4つから構成されている
- 型番の意味が分かれば、型番から性能を比較できる
- ベンチマークスコアや性能表を見れば、グラボの型番からではわからない情報を知ることができる
型番の意味を知っておけば、グラボ選びにも役に立つ。候補を絞りやすいからだ。
グラボの選び方について知りたい人は、以下のページを読むと良い。
≫ゲーミングPCに載せるグラボ性能の選び方とおすすめを初心者でもわかるように解説
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。