「ゲーミングPCを買おうと思ってるんだけど、グラボで悩んでるんだよね。RTX3060ってやつは価格が安いから気になってるんだけど、どれくらいの性能なんだろう?」って人に読んでほしいページです。
このページの内容は以下の通り。
- RTX3060(12GB)の特徴を解説
- RTX3060(12GB)の性能ベンチマークを比較
RTX3060には8GB版と12GB版の2種類があるが、主流な12GB版をこのページでは主に扱う。
RTX3060(12GB)は2021年2月に発売開始されたエントリー向けグラボだ。
このページを読めば、RTX3060(12GB)の性能がわかり、RTX3060(12GB)を選ぶかどうかを比較検討できる。
次世代のRTX4060は、以下のページで解説している。
›RTX4060の性能ベンチマークを比較解説
RTX3060(12GB)の特徴
RTX3060(12GB)最大の特徴は、12GBのGPUメモリを搭載していることだ。
GPUメモリはグラボ選びの1つの指標になる部分であり、GPUメモリが多いほど、できることの幅が広がる。
ゲームでは最低で8GBは必要だと言われていて、RTX30シリーズのグラボは8GB以上のGPUメモリが搭載されている。なお、12GB以上のGPUメモリが搭載されているのはRTX3060とRTX3080(12GB)以上のグラボだけだ。
画像生成AIなどではGPUメモリが多いほど作業効率が良くなる傾向にあり、エントリークラスながら12GBのGPUメモリを搭載しているRTX3060は唯一無二のグラボと言える。
RTX3060(12GB)の性能表を比較解説
RTX3060(12GB) | RTX3050 | RTX3060Ti | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere | Ampere | Ampere |
GPUコア | GA106 | GA106 | GA104 |
プロセス | 8nm | 8nm | 8nm |
CUDAコア | 3584基 | 2560基 | 4864基 |
RTコア世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 |
RTコア | 28基 | 20基 | 38基 |
Tensorコア世代 | 第3世代 | 第3世代 | 第3世代 |
Tensorコア | 112基 | 80基 | 152基 |
ベースクロック | 1.32GHz | 1.55GHz | 1.41GHz |
ブーストクロック | 1.78GHz | 1.78GHz | 1.67GHz |
メモリ容量 | 12GB | 8GB | 8GB |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリクロック | 15Gbps | 14Gbps | 14Gbps |
メモリバス幅 | 192bit | 128bit | 256bit |
メモリバス帯域 | 360GB/s | 224GB/s | 448GB/s |
TDP | 170W | 130W | 200W |
推奨電源 | 550W | 550W | 600W |
RTX3060 | RTX3050 | |
---|---|---|
CUDAコア | 3584基 | 2560基(71%) |
ベースクロック | 1.32GHz | 1.55GHz(117%) |
メモリ容量 | 12GB | 8GB(67%) |
メモリクロック | 15Gbps | 14Gbps(93%) |
メモリバス幅 | 192bit | 128bit(67%) |
メモリバス帯域 | 360GB/s | 224GB/s(62%) |
TDP | 170W | 130W(76%) |
RTX3050はRTX3060の1ランク下に位置付けられるローエンドクラスのグラボだ。
RTX3060とRTX3050は様々な点が異なるが、特筆すべきはやはりRTX3060のGPUメモリになる。
ローエンド~エントリークラスのグラボには8GBのGPUメモリが一般的であり、RTX3050も例にもれず8GBだ。
一方でRTX3060には12GBのGPUメモリが搭載されている。
最近のグラフィックが売りのタイトルでは、8GB以上のGPUメモリを消費することもある。8GBのGPUメモリの場合はフレームレートが出にくいのだ。
その点RTX3060では、エントリークラスの性能の低さを補うように12GBのGPUメモリが作用するというわけだ。
RTX3060 | RTX3060Ti | |
---|---|---|
GPUコア | GA106 | GA104 |
CUDAコア | 3584基 | 4864基(136%) |
ベースクロック | 1.32GHz | 1.41GHz(107%) |
ブーストクロック | 1.78GHz | 1.67GHz(94%) |
メモリ容量 | 12GB | 8GB(67%) |
メモリクロック | 15Gbps | 14Gbps(93%) |
メモリバス幅 | 192bit | 256bit(133%) |
メモリバス帯域 | 360GB/s | 448GB/s(124%) |
TDP | 170W | 200W(118%) |
RTX3060TiはRTX3060の1ランク上に位置付けられるエントリークラスのグラボだ。
RTX3060TiはRTX3060の約135%ほどのスペックとなっている。コア数・メモリバス幅が約135%だ。
ただやはりRTX3060の12GBのGPUメモリは注目に値する。
例えばVRChatの場合、RTX3060TiよりRTX3060のほうがパフォーマンスが良いことがある。VRChatではコアの性能よりGPUメモリの容量の方が大事になることがあるからだ。
RTX3060は基本的にはRTX3060Tiより下のスペックだが、12GBのGPUメモリのおかげで、一部の用途ではRTX3060Tiより高いパフォーマンスを出せるというわけだ。
RTX3060の性能ベンチマークを比較
RTX3060のグラフィック性能を、定番ベンチマーク「3DMark」で比較した。
RTX3060(12GB)は、RTX3050に29%の差をつけて勝っているが、RTX3060Tiには33%の差をつけられて負けている。RTX3050、RTX3060、RTX3060Tiはコア数の差が大きく、グラフィック性能の差も大きいのだ。
なお、RTX3060(12GB)とRTX3060(8GB)の差は16%であり、同じRTX3060とは思えないほどのスコア差が開いている。RTX3060の特徴は12GBのメモリということと相まって、RTX3060(8GB)を選ぶ意味は薄い。
RTX3060(12GB)のゲーム性能を比較
- RTX3060(12GB)のフルHD性能を比較
- RTX3060(12GB)のDLSS性能を比較
RTX3060(12GB)のフルHD性能を比較
RTX3060 | RTX3050 | RTX3060Ti | |
---|---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 60 | 40 | 76 |
God of War | 57 | 43 | 78 |
Red Dead Redemption 2 | 43 | 31 | 54 |
The Last of Us Part 1 | 52 | 37 | 55 |
Witcher 3 NextGen | 61 | 56 | 80 |
平均 | 54.6 | 41.4 | 68.6 |
割合 | 100%(基準) | 76% | 126% |
※CPUはRyzen7 5800X、フルHD最高設定
RTX3060(12GB)は、多少の妥協が必要なフルHD性能だ。
RTX3060(12GB)はRTX3050には24%の差をつけて勝っているが、RTX3060Tiには26%の差をつけられて負けている。RTX3060Tiであれば、平均60fpsを達成しやすいという点からも、フルHD性能はRTX3060Tiのほうが魅力的だ。
たしかにRTX3060(12GB)はギリギリ60fpsに届くか届かないか程度の性能であり、フルHD適性が高いとは言えない。
とはいえ、フルHDでゲームをするような人は最高設定へのこだわりは薄いはずであり、画質を多少妥協すればRTX3060(12GB)でフルHD60fpsを達成できる。
RTX3060(12GB)は画質を多少妥協することを前提にすれば、フルHDでのゲームプレイに向いているグラボだ。
RTX3060(12GB)のDLSS性能を比較
Cyberpunk 2077 | RTX3060 | RTX3050 | RTX3060Ti |
---|---|---|---|
ネイティブ | 60 | 40 | 76 |
DLSS(UP) | 107 | 85 | 111 |
DLSS(Q) | 82 | 54 | 101 |
RT DLSS(UP) | 72 | 56 | 76 |
RT DLSS(Q) | 47 | 36 | 61 |
※CPUはRyzen7 5800X、フルHD最高設定
※(UP)=フレームレート重視、(Q)=画質重視、RT=レイトレーシング
DLSSは、RTX3060(12GB)のフルHD性能をサポートしてくれる。
RTX3060(12GB)は、DLSSを使うことでフルHD60fpsを達成しやすくなる。
ただしRTX3060(12GB)はレイトレーシング(RT)には向いていない。DLSSを最大までかければ60fpsを達成できるが、画質が犠牲になってしまうためおすすめしづらい。レイトレーシングをオフにしてDLSSを弱くかけると良い。
RTX3050はDLSSを使っても60fpsを達成できていないところを見ると、RTX3060の優位性がわかる。
RTX3060Tiには負けているが、RTX3060の時点で十分なフレームレートを出せている。
DLSSは対応しているゲームでしか使えないという欠点はあるが、RTX3060(12GB)のフルHD性能を補助する機能としてかなり役に立つ。
RTX3060(12GB)のクリエイティブ性能を比較
RTX3060 | RTX3050 | RTX3060Ti | |
---|---|---|---|
Premiere Pro Pugetbench | 44.2 100% | 29.0 66% | 50.6 114% |
Photoshop Pugetbench | 121.4 100% | 118.2 97% | 132.7 109% |
Blender | 2531 100% | 1660 66% | 3216 127% |
RTX3060(12GB)のクリエイティブ性能は悪くない。
RTX3060(12GB)のクリエイティブ性能は順当にRTX3050以上RTX3060Ti以下だが、RTX3050に対して34%もの差をつけている。RTX3050ではなくRTX3060(12GB)を選ぶ理由としては十分だ。
RTX3060Tiを選ぶかどうかは人それぞれだが、RTX3060(12GB)はエントリークラスのグラボとして優秀なクリエイティブ性能と言える。
RTX3060(12GB)の消費電力とワットパフォーマンスを比較
RTX3060 | RTX3050 | RTX3060Ti | |
---|---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 174W | 126W | 199W |
God of War | 182W | 129W | 217W |
Red Dead Redemption 2 | 173W | 119W | 212W |
The Last of Us Part 1 | 137W | 99W | 181W |
Witcher 3 NextGen | 159W | 114W | 192W |
平均 | 165.0W | 117.4W | 200.2 |
ワットパフォーマンス | 0.33 | 0.35 | 0.34 |
※ワットパフォーマンス=フレームレート÷消費電力 高いほうが良い
RTX3060(12GB)の消費電力とワットパフォーマンスは標準的だ。
RTX3050のワットパフォーマンスが若干優れているが、誤差の範囲とも言えるレベルの差しかない。ワットパフォーマンスでグラボを選ぶほどではない。
RTX3060(12GB)の価格とコスパを比較
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷グラボ価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=3DMark÷グラボ価格
RTX3060(12GB)は低価格で高コスパだ。RTX3060(12GB)はRTX3050やRTX3060Tiと比べてコスパが良く、RTX3060Tiより1.5万円も安い。
RTX3050と比べると約1万円高いが、1万円で30%ぶんの性能が手に入るならお得だ。ゲームではベンチマークより性能差が小さいのでゲームのコスパでは並ばれているが、それでもRTX3060(12GB)は十分な安さとコスパを兼ね備えていると言える。
安くて高コスパなグラボを探しているなら、RTX3060(12GB)はおすすめだ。
RTX3060に関してよくある質問
- RTX3060と組み合わせるのにおすすめのCPUは?
- RTX3060(12GB)の推奨電源は?
- RTX3060(12GB)を使うと電気代はいくらになる?
- RTX3060にはなぜ12GBのGPUメモリが搭載されているのか?
- RTX3060(12GB)とRTX3060(8GB)の違いは何?
RTX3060と組み合わせるのにおすすめのCPUは?
PassMark | Cinebench シングル | Cinebench マルチ | コア/スレッド | |
---|---|---|---|---|
Core i5-12400 | 19533 | 1623 | 12454 | 6/12 |
Core i5-13400 | 26355 | 1749 | 14865 | 10/16 |
Ryzen5 5600X | 21936 | 1593 | 10988 | 6/12 |
Ryzen7 5700X | 26671 | 1532 | 13802 | 8/16 |
RTX3060はエントリークラスのグラボなので、CPUもエントリークラスに見合ったものを選びたい。
どれも安価なCPUだが、性能を求めるならCore、より価格を求めるならRyzenを選ぶと良い。
RTX3060(12GB)の推奨電源は?
RTX3060(12GB)の公式での推奨電源は550Wだ。
RTX3060(12GB)のTDPは170Wで、仮にCore i7-13700Kを搭載すると+125Wで、合計295Wだ。
使用電力の約2倍ほどの電源容量が望ましいとされているので、550Wになる。
RTX3060(12GB)を使うと電気代はいくらになる?
ゲーム時の消費電力平均 | 1日5時間使用 | 30日間使用 | |
---|---|---|---|
RTX3060 | 165.0W | 25.58円 | 767.25円 |
RTX3050 | 117.4W | 18.20円 | 545.91円 |
RTX3060Ti | 200.2W | 31.03円 | 930.93円 |
※環境によって電気代は異なる
グラボのみで計算。実際はCPUなどの他パーツの電力が加算される。
RTX3060にはなぜ12GBのGPUメモリが搭載されているのか?
RTX3060に12GBのGPUメモリが搭載されているのは、大容量のメモリを搭載したエントリークラスのラインナップを用意するためだ。
通常、エントリークラスのグラボには8GBのGPUメモリが搭載されている。
ゲームを含む多くの用途では、8GBもあれば十分だ。
しかしVRChatやクリエイティブ用途など、8GBより多いメモリが欲しい用途がある。
通常であれば、8GBより多いメモリはハイクラス以上のグラボに搭載されているが、ハイクラスのグラボは高価格で手が出せない人が多い。
そこでエントリークラスのRTX3060を12GBにすることで、需要に答えようというわけだ。
後は単純に、GPUメモリを多くしておけばライバルのグラボより売れるという目的もありそうだ。
RTX3060(12GB)とRTX3060(8GB)の違いは何?
RTX3060(12GB)とRTX3060(8GB)の違いは、メモリ性能の差によるパフォーマンスの差だ。
RTX3060(12GB)→RTX3060(8GB)でメモリが2/3になっているため、メモリバス幅やメモリバス帯域も2/3になっている。
メモリ性能が下がればパフォーマンスも下がる。実際、3DMarkではRTX3060(12GB)とRTX3060(8GB)の差は16%だ。
ちなみに価格差は1,000円ほどなので、RTX3060(8GB)は本当に買う価値のないグラボだ。
RTX3060(12GB)の性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、RTX3060(12GB)の性能ベンチマークを比較した。
RTX3060(12GB)について振り返ると以下の通り。
- RTX3060(12GB)はエントリークラスのグラボであり、フルHDでのゲームプレイに向いている
- RTX3060(12GB)は12GBのGPUメモリを持つという大きな特徴があり、特定の用途で威力を発揮する
- RTX3060(12GB)は安くて高コスパなグラボを探している人におすすめ
グラボの選び方やおすすめを知りたい人は、以下のページを見ると良い。
≫ゲーミングPCに載せるグラボ性能の選び方とおすすめを初心者でもわかるように解説
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- 3DMark:https://benchmarks.ul.com/
- Blender:https://opendata.blender.org/