
「せっかくゲーミングPCを買うなら高性能なCPUを搭載したいと思ってるんだけど、Core i9-12900とかCore i9-12900Kってどうかな?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- Core i9-12900/12900Kの特徴
- Core i9-12900/12900Kの性能ベンチマークを比較
Core i9-12900は2022年1月、Core i9-12900Kは2021年11月に発売されたハイエンドCPUだ。
このページを読めば、Core i9-12900/12900KがどんなCPUで、自分に合っているかどうかがわかる。
Core i9-12900/12900Kの特徴
Core i9-12900/12900Kは12世代のハイエンドCPUだが、今では選ぶ価値がない。
ほぼ完全上位互換と言えるCPUが登場したからだ。
ほんの少し予算を増やすだけで仕様上でも性能上でも上位互換のCPUのせいで、Core i9-12900/12900Kを選ぶ意味がなくなった。
特徴1:Core i7-13700Kの下位互換になった
Core i9-12900/12900Kは、Core i7-13700Kの下位互換のCPUだ。
Core i7-13700Kは仕様上でも実際の性能でもCore i9-12900/12900Kを上回る。
Core i9-12900/12900Kは値下がりしているので、数千円だけCore i7-13700Kのほうが高い。
とはいえ数千円で上位のCPUが買えると考えると、Core i9-12900/12900Kの立場はない。
›Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較解説
特徴2:PコアとEコアに分かれている
Core i9-12900/12900Kは16のコアを持つが、高性能な8個のPコアと、低性能だが高効率な8個のEコアに分かれている。
例えばゲーム+配信をする場合。メインのゲームをPコアが処理し、バックグラウンドの配信をEコアが処理する。些末な処理をEコアに任せることで、Pコアはゲームの処理に集中できる。結果として、ゲームのフレームレートを高く保てるというわけだ。
Eコアは低性能な代わりに小型であり、複数搭載することが容易だ。Eコアを搭載することで、並列処理が強化される。
Core i9-12900/12900Kの性能表を比較
i9-12900 i9-12900K | i9-13900K | i7-13700K | R9 5950X | |
---|---|---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 8コア/16コア | 8コア/8コア | 16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド | 24スレッド | 32スレッド |
定格クロック(P/E) | 2.4GHz/1.8GHz 3.2GHz/2.4GHz | 3.0GHz/2.2GHz | 3.4GHz/2.5GHz | 3.4GHz |
最大クロック(P/E) | 5.0GHz/3.8GHz 5.1GHz/3.9GHz | 5.4GHz/4.3GHz | 5.3GHz/4.2GHz | 4.9GHz |
L2/L3キャッシュ | 14MB/30MB | 32MB/36MB | 24MB/30MB | 8MB/64MB |
PCI-Express (Gen/レーン) | 5.0/16レーン, 4.0/4レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン | 4.0/16レーン |
対応メモリ | DDR5-4800, DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR4-3200 |
基本消費電力 | 65W 125W | 125W | 125W | 105W |
i9-12900K | i9-13900K | |
---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 8コア/16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド |
定格クロック(P/E) | 3.2GHz/2.4GHz | 3.0GHz/2.2GHz |
最大クロック(P/E) | 5.1GHz/3.9GHz | 5.4GHz/4.3GHz |
L2/L3キャッシュ | 14MB/30MB | 32MB/36MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
Core i9-13900Kは、Core i9-12900Kの後継に当たるCPUだ。
Core i9-12900KとCore i9-13900Kの大きな違いは、Eコアによるマルチタスク性能だ。
Core i9-12900KとCore i9-13900Kは、PコアとEコアという2種類のコアを持つ。
例えばゲーム+配信をする場合、メインのゲームをPコアが処理し、バックグラウンドでの配信をEコアが処理する。
Pコア/Eコアの使い分けによって、主にマルチタスクの効率が向上する。
様々なソフトを起動して、裏で動画のエンコードをしながら表で別の作業をする、という用途が多いなら、Core i9-13900Kのほうが有利になる。
i9-12900K | i7-13700K | |
---|---|---|
定格クロック(P/E) | 3.2GHz/2.4GHz | 3.4GHz/2.5GHz |
最大クロック(P/E) | 5.1GHz/3.9GHz | 5.3GHz/4.2GHz |
L2/L3キャッシュ | 14MB/30MB | 24MB/30MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
Core i9-12900KとCore i7-13700Kには、カタログスペック上の違いはほぼない。
Core i7-13700Kのほうが全体的にスペックが高いが、特筆すべき違いは無い。
i9-12900K | R9 5950X | |
---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド |
定格クロック(P/E) | 3.2GHz/2.4GHz | 3.4GHz |
最大クロック(P/E) | 5.1GHz/3.9GHz | 4.9GHz |
L2/L3キャッシュ | 14MB/30MB | 8MB/64MB |
PCI-Express (Gen/レーン) | 5.0/16レーン 4.0/4レーン | 4.0/16レーン |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR4-3200 |
基本消費電力 | 125W | 105W |
Core i9-12900KとRyzen9 5950Xの大きな違いは、マルチタスク性能だ。
Core i9-12900Kのコアは、Pコア/Eコアという2種類に分かれている。
例えばゲーム+配信をする場合、メインのゲームをPコアが処理し、バックグラウンドでの配信をEコアが処理することで、総合的なパフォーマンスを向上させることができる。
Core i9-11900KとCore i9-12900Kの比較では、ゲーム+配信時に配信をバックグラウンドに割り当てないと19%のfps向上だが、バックグラウンドに割り当てると84%のfps向上というIntelのデータがある。
Core i9-12900Kは、マルチタスク性能が売りだ。
Core i9-12900/12900Kのベンチマークスコアや価格を比較
i9-12900 | i9-12900K | i9-13900K | i7-13700K | R9 5950X | |
---|---|---|---|---|---|
PassMark | 35128 85% | 41571 100% | 59964 144% | 47094 113% | 45899 110% |
Cinebench シングル | 1988 100% | 1997 100% | 2241 112% | 2126 106% | 1644 82% |
Cinebench マルチ | 26455 96% | 27472 100% | 39652 144% | 31062 113% | 28577 104% |
※PassMarkはCPUの総合性能。シングルスコアはコア1つぶんの性能で、ゲーム性能に近い。マルチスコアはコア全体の性能であり、クリエイティブ性能に近い。
Core i9-12900/12900KはCore i7-13700Kより性能が低く、今選ぶ必要性は薄いCPUだ。
Core i9-13900Kと比べるとシングルスコアですら12%と大きな差だが、マルチスコアで44%と大差がついている。コアの性能向上に加え、Eコアが更に追加されていることが大きい。
Ryzen9 5950Xと比べると、シングルスコアでは勝っているが、マルチスコアでは同等だ。Core i9-12900/12900Kは低性能なEコアでコア数を盛っているだけだからだ。
Core i9-12900/12900Kの性能自体が低いわけではないのだが、ハイエンドCPUとして今選ぶには型落ちだ。
Core i9-12900/12900Kのゲーム性能を比較
Core i9-12900はCore i9-12900Kと同等のシングルスコアであり、ゲーム性能ではほぼ差がないので省略した。
i9-12900K | i9-13900K | i7-13700K | R9 5950X | |
---|---|---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 111 | 121 | 118 | 98 |
Forza Horizon 5 | 228 | 256 | 226 | 213 |
Microsoft Flight Simulator | 101 | 107 | 111 | 102 |
Red Dead Redemption 2 | 171 | 176 | 173 | 152 |
Horizon Zero Dawn | 197 | 221 | 217 | 191 |
平均 | 161.6 | 176.2 | 169.0 | 151.2 |
割合 | 100%(基準) | 109% | 105% | 94% |
※RTX4090、フルHD
Core i9-12900Kのゲーム性能はCore i7-13700K以下であり、物足りない。
Core i7-13700Kと同等のフレームレートを出せるゲームもあるが、大差で負けてしまうゲームもある。安定的に高いフレームレートを出したいなら、Core i7-13700KのようなCPUを選ぶべきだ。
Ryzen9 5950Xよりは高いフレームレートをほとんどのゲームで出せている。競合AMDに負けていないという意味で、ハイエンドの威厳は一応守れたということだろうか。
Core i9-12900/12900Kのクリエイティブ性能を比較
i9-12900 | i9-12900K | i9-13900K | i7-13700K | R9 5950X | |
---|---|---|---|---|---|
Blender | 228 66% | 343 100% | 516 150% | 398 116% | 416 121% |
V-Ray | 13890 80% | 17342 100% | 25689 148% | 20653 119% | 20202 116% |
PCMark10 画像編集 | 19512 100% | 19511 100% | 24977 128% | 21512 110% | 22026 113% |
PCMark10 動画編集 | 7958 100% | 7954 100% | 8847 112% | 7793 98% | 6608 83% |
VRMark オレンジルーム | 13702 76% | 17915 100% | 17553 98% | 16897 94% | 14423 81% |
Core i9-12900/12900Kのクリエイティブ性能は非常に見劣りする。Core i9-13900KやCore i7-13700Kに完敗していて、クリエイティブ性能目当てで選ぶ必要はない。
ライバルのRyzen9 5950Xに対しても、負けている項目が多い。特にBlenderやV-Rayで大きな差をつけられている。
BlenderやV-Rayは、高性能なコアの個数がスコアに影響しやすい。Core i9-12900/12900Kは16コアだが、半分は低性能な8コアだ。
そのため、純粋に強いコアが16個あるRyzen9 5950Xより低いスコアとなっている。
クリエイティブ性能目的でCore i9-12900/12900Kを選ぶ意味はない。
Core i9-12900/12900Kの価格やコスパを比較
i9-12900 | i9-12900K | i9-13900K | i7-13700K | R9 5950X | |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 7.5万円 | 6.3万円 | 9.0万円 | 6.4万円 | 7.5万円 |
コスパ (ゲーム) | – | 25.65 | 19.58 | 26.40 | 20.16 |
コスパ (ベンチ) | 0.47 | 0.66 | 0.67 | 0.74 | 0.61 |
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=PassMark÷価格(円)
特にCore i9-12900は選ぶ意味のないCPUだ。Core i9-12900はなぜかCore i9-12900Kより高額になっている。
Core i9-12900Kはコスパ面では割と優れているが、Core i7-13700Kとの価格差とここまで見てきた性能差を考えると、Core i9-12900Kを選ぶ意味はないように感じる。
Core i9を検討するようなユーザーであれば、予算を数千円増やしてCore i7-13700Kを選んだほうが良い。
›Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較解説
Core i9-12900/12900Kの性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、Core i9-12900/12900Kの性能ベンチマークを比較した。
Core i9-12900/12900Kについて振り返ると以下の通り。
- Core i9-12900/12900Kは、Eコアによるマルチタスクが売りのハイエンドCPU
- Core i9-12900/12900KはCore i7-13700Kのほぼ完全下位互換なので選ぶ意味がない
Core i9-12900/12900Kを選ぶくらいなら、Core i7-13700Kを選んだほうが性能的にも金銭的にも得だ。
›Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較解説
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- PassMark:https://www.cpubenchmark.net/
- Cinebench R23:https://www.cpu-monkey.com/ja/
- Blender:https://opendata.blender.org/
- V-Ray:https://www.chaos.com/vray/benchmark
- PCMark10:https://www.3dmark.com/