「高性能なゲーミングPCにしたいなって思ってるんだけど、CPUはどれが良いんだろ?」って人に読んでほしいページです。
このページの内容は以下の通り。
- Core i7-13700/13700Kの特徴を紹介
- Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較
Core i7-13700は2023年1月に、Core i7-13700Kは2022年10月に販売開始されたハイエンドCPUだ。
このページを見れば、Core i7-13700/13700KがどんなCPUなのか、自分に合っているかどうかが判断できる。
次世代のCore i7-14700Kとの比較は以下のページで行っている。
›Core i7-14700Kの性能ベンチマークを比較解説
Core i7-13700/13700Kの特徴
Core i7-13700/13700Kはハイクラスレンジの代表とも言えるCPUで、性能と価格のバランスが優れているのが特徴だ。
IntelのCPUは12世代以降、非常に強力なものに生まれ変わっていて、Core i7-13700/13700Kもかなり高性能になっている。
16個ものコアを持ち、高いマルチ性能を有しているので、特にクリエイターは必見だ。
特徴1:PコアとEコアに分かれている
Core i7-13700/13700Kのコアは、PコアとEコアの2種類に分かれている。
高性能なPコアと、低性能だが高効率で、数を盛ることで並列処理が得意なEコアだ。
例えばゲーム+配信の場合、メインのゲームを高性能なPコアが処理し、バックグラウンドの配信をEコアが処理する。担当する処理を役割分担することで、ゲームのフレームレートが高くなるというわけだ。
Pコア/Eコアによってマルチタスクにおけるパフォーマンスが向上するので、複数の作業を同時並行で行うようなクリエイターに嬉しい設計となっている。
特徴2:Intel Thread Directorの強化
Intel Thread Directorとは、Pコア/Eコアの振分けを補助する機能だ。使用するアプリケーションによって、PコアとEコアのどちらを使うかをOSに対して助言する役割を担う。
Core i7-13700/13700KではIntel Thread Directorによる振分け機能が強化されていて、より正確にコアを振り分けることができるようになっている。
さらに、今行っている作業にPコアを割り振るようになっている。
例えば動画のエンコードをしながら画像編集ソフトを使う場合。画像編集ソフトによって動画編集ソフトが完全に隠れているので、画像編集ソフトのほうにPコアを割り振り、快適に作業ができるようにしてくれる。
エンコードを早く終わらせたい場合、ウインドウに動画編集ソフトが見えている状態で画像編集ソフトを扱えば良い。
このように、マルチタスク時に快適に作業が行えるようにIntel Thread Directorが機能する。
Core i7-13700/13700Kの性能表を比較
i7-13700 i7-13700K | i7-12700 i7-12700K | i9-13900K | R7 7700X | |
---|---|---|---|---|
コア数 (P/E) | 8コア/8コア | 8コア/4コア | 8コア/16コア | 8コア |
スレッド数 | 24スレッド | 20スレッド | 32スレッド | 16スレッド |
定格クロック (P/E) | 2.1GHz/1.5GHz 3.4GHz/2.5GHz | 2.1GHz/1.6GHz 3.6GHz/2.7GHz | 3.0GHz/2.2GHz | 4.5GHz |
最大クロック (P/E) | 5.2GHz/4.1GHz 5.4GHz/4.2GHz | 4.8GHz/3.6GHz 4.9GHz/3.8GHz | 5.4GHz/4.3GHz | 5.4GHz |
L2/L3キャッシュ | 24MB/30MB | 12MB/25MB | 32MB/36MB | 8MB/32MB |
PCI-Express (Gen/レーン) | 5.0/16レーン, 4.0/4レーン | 5.0/16レーン, 4.0/4レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン | 5.0/24レーン |
対応メモリ | DDR4-3200, DDR5-5600 | DDR4-3200, DDR5-4800 | DDR4-3200 DDR5-5600 | DDR5-5200 |
基本消費電力 | 65W 125W | 65W 125W | 125W | 105W |
i7-13700 | i7-13700K | |
---|---|---|
定格クロック(P/E) | 2.1GHz/1.5GHz | 3.4GHz/2.5GHz |
最大クロック(P/E) | 5.2GHz/4.1GHz | 5.4GHz/4.2GHz |
基本消費電力 | 65W | 125W |
Core i7-13700とCore i7-13700Kの違いは、性能の高さだ。
Core i7-13700Kのほうが高クロックで高性能だ。
コア1つぶんの性能差はさほど大きくないが、コア全体での差はそれなりに大きく、主にマルチ性能で差が出やすい。
また、Core i7-13700Kはオーバークロックに対応している。オーバークロックとは限界以上のパワーを出すことであり、より高いパフォーマンスを発揮できる。
ただしオーバークロックは発熱量が多く、十分な冷却性能がないと故障の原因になる。
その上保証の対象外なので、あくまで自己責任だ。
i7-13700 i7-13700K | i7-12700 i7-12700K | |
---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 8コア/4コア |
スレッド数 | 24スレッド | 20スレッド |
最大クロック(P/h) | 5.2GHz/4.1GHz 5.4GHz/4.2GHz | 4.8GHz/3.6GHz 4.9GHz/3.8GHz |
L2/L3キャッシュ | 24MB/30MB | 12MB/25MB |
対応メモリ | DDR4-3200 DDR5-5600 | DDR4-3200 DDR5-4800 |
Core i7-12700/12700Kは、Core i7-13700/13700Kの前世代にあたるCPUだ。
Core i7-12700/12700KとCore i7-13700/13700Kの大きな違いは、Eコアの数だ。
Core i7-12700/12700KのEコアは4個だが、Core i7-13700/13700KのEコアは8個もある。
Eコアは主にバックグラウンドでのタスク処理を行うので、Core i7-13700/13700Kのほうがマルチタスクに向いている。
細かいところだと、Pコアのアーキテクチャも違う。
Core i7-12700/12700KのPコアはGolden Coveだが、Core i7-13700/13700KではRaptor Coveになっている。クロックが上がり、1コアあたりのL2キャッシュも1.25MBから2MBに増えている。
Core i7-13700 Core i7-13700K | i9-13900K | |
---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 8コア/16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド |
定格クロック(P/E) | 2.1GHz/1.5GHz 3.4GHz/2.5GHz | 3.0GHz/2.2GHz |
最大クロック(P/E) | 5.2GHz/4.1GHz 5.4GHz/4.2GHz | 5.4GHz/4.3GHz |
L2/L3キャッシュ容量 | 24MB/30MB | 32MB/36MB |
Core i9-13900Kは、Core i7-13700/13700Kの1グレード上にあたるCPUだ。
Core i7-13700/13700KとCore i9-13900Kの主な違いは、Eコアの数だ。
Core i7-13700/13700KのEコアは8個だが、Core i9-13900Kは16個もある。
Eコアは主に、バックグラウンドでのタスク処理であったり、些末な処理に向いている。
基本的にはマルチタスクで活躍する機会が多いので、仕事でクリエイターをしていて、マルチタスクが多い人であれば、Core i7-13700/13700KとCore i9-13900Kの差を実感しやすい。
Core i7-13700 Core i7-13700K | R7 7700X | |
---|---|---|
コア数(P/E) | 8コア/8コア | 8コア |
スレッド数 | 24スレッド | 16スレッド |
L2/L3キャッシュ | 24MB/30MB | 8MB/32MB |
PCI-Express | 5.0/16レーン 4.0/4レーン | 5.0/24レーン |
対応メモリ | DDR4-3200 DDR5-5600 | DDR5-5200 |
Core i7-13700/13700KとRyzen7 7700Xの主な違いは、コア数だ。
Core i7-13700/13700Kは16コア、Ryzen7 7700Xは8コアだ。
Core i7-13700/13700Kの16コアのうち半分は低性能なEコアとはいえ、コア数の多さはマルチ性能の高さにつながる。
例えばゲーム+通話の場合、Ryzen7 7700Xはゲームと通話の両方を8コアで処理しなければならないが、Core i7-13700/13700Kは通話をEコアに任せることで、ゲームをPコア8個で処理できる。
コア数の多さは対応できるタスクの数に繋がるので、汎用性で見ればCore i7-13700/13700Kが有利だと言える。
Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較
i7-13700 | i7-13700K | i7-12700K | i9-13900K | R7 7700X | |
---|---|---|---|---|---|
PassMark | 36280 77% | 47094 100% | 34730 74% | 59964 127% | 36438 77% |
Cinebench シングル | 2107 99% | 2126 100% | 1939 91% | 2241 105% | 2010 95% |
Cinebench マルチ | 24770 80% | 31062 100% | 22812 73% | 39652 128% | 20399 66% |
※シングルスコアはコア1つぶんの性能で、ゲーム性能に近い。マルチスコアは全コア合計の性能で、クリエイティブ性能に近い。PassMarkは総合的なCPU性能を表す。
Core i7-13700/13700Kは、コア数の多さによるマルチスコアが売りだ。特にCore i7-13700Kは、コア数に加えてクロックの高さでマルチスコアが押し上げられている。
クロックが抑えられているCore i7-13700は、Core i7-13700Kに比べてマルチスコアが20%低い。クリエイティブ性能を重視するならK付きCPUのほうが良さそうだ。
それでもRyzen7 7700Xには勝っているので、コア数の暴力の威力は高い。
前世代のCore i7-12700Kと比べても、Core i7-13700/13700Kは勝っている。
Core i7-13700はCore i7-12700Kから微増程度だが、Core i7-13700Kはコア数とクロックの増加によってマルチスコアで25%以上の差をつけている。
マルチスコアが重要になりやすいクリエイターにとって、特にCore i7-13700Kは魅力的なCPUと言えそうだ。
Core i7-13700/13700Kのゲーム性能を比較
Core i7-13700とCore i7-13700Kはシングルスコアが1%しか変わらず、ゲーム性能もほぼ同等ということで、Core i7-13700は省いた。
i7-13700K | i7-12700K | i9-13900K | R7 7700X | |
---|---|---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 118 | 112 | 121 | 106 |
Forza Horizon 5 | 226 | 210 | 256 | 217 |
Microsoft Flight Simulator | 111 | 101 | 107 | 106 |
Red Dead Redemption 2 | 173 | 170 | 176 | 182 |
Horizon Zero Dawn | 217 | 209 | 221 | 227 |
平均 | 169.0 | 160.4 | 176.2 | 167.6 |
割合 | 100%(基準) | 95% | 104% | 99% |
※RTX4090、フルHD
Core i7-13700Kのゲーム性能は悪くない。Core i7-12700KとCore i9-12900Kの真ん中付近のゲーム性能になった。
前世代のCore i7-12700Kには平均で5%の差をつけていて、タイトルによっては10%弱の差だ。Core i7-12700Kから乗り換えるほどではないが、Core i7-13700Kのゲーム性能は十分だ。
競合のRyzen7 7700Xと比べると、平均ではほぼ同じだ。ただしお互いに得意不得意があり、ゲームによって優劣が入れ替わっている。
おそらくEコアがうまく作用する場合は、Ryzen7 7700XよりCore i7-13700Kのほうが有利なのだろう。
Core i7-13700KもRyzen7 7700Xも、ゲームでは8コアが動作する。ただしCore i7-13700Kには些末な処理に適したEコアがある。
一口にゲームと言っても、レンダリング処理やサウンド処理のように、重い処理と軽い処理がある。軽い処理をEコアに任せ、重い処理にPコアが専念することで、フレームレートが上がっていると思われる。
Ryzen7 7700Xのほうが有利なゲームにおいても、Core i7-13700Kが著しく劣るというわけでもないので、Core i7-13700Kは優秀なゲーム性能だと言える。
Core i7-13700/13700Kのクリエイティブ性能を比較
i7-13700 | i7-13700K | i7-12700K | i9-13900K | R7 7700X | |
---|---|---|---|---|---|
Blender | 323 81% | 398 100% | 295 74% | 516 130% | 279 70% |
V-Ray | 16251 79% | 20653 100% | 15001 73% | 25689 124% | 14691 71% |
PCMark10 画像編集 | 16839 78% | 21642 100% | 16714 77% | 25091 116% | 23397 108% |
PCMark10 動画編集 | 7716 90% | 8533 100% | 7627 89% | 8817 103% | 8306 97% |
VRMark オレンジルーム | 17908 106% | 16912 100% | 16231 96% | 17571 104% | 18285 108% |
Core i7-13700/13700Kのクリエイティブ性能は高い水準にある。特にCore i7-13700KはCore i7-13700より20%ほど高性能で、Core i9-13900Kに近いクリエイティブ性能となっている。
コア数の多さがパフォーマンスに影響しやすいBlenderやV-Rayでは、Core i7-13700Kの優位性が高い。特にRyzen7 7700Xとの差が大きくなっている。
Core i7-12700Kとの差を見ればわかるように、コア数が増えたことはクリエイティブ性能の向上に大きく貢献している。
クリエイティブ性能を重視するなら、特にCore i7-13700Kは魅力的な候補になる。
Core i7-13700/13700Kの価格やコスパを比較
i7-13700 | i7-13700K | i7-12700K | i9-13900K | R7 7700X | |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 6.1万円 | 6.4万円 | 4.8万円 | 9.0万円 | 4.4万円 |
コスパ (ゲーム) | – | 26.40 | 34.42 | 19.58 | 38.09 |
コスパ (ベンチ) | 0.59 | 0.74 | 0.72 | 0.67 | 0.83 |
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=PassMark÷価格(円)
Core i7-13700/13700Kのコスパは悪い。
前世代のCore i7-12700Kと比べると、実ゲームでかなり低コスパだ。
Ryzen7 7700Xに至ってはゲームでもベンチマークでもコスパで大負けしていて、コスパという目線ではCore i7-13700/13700Kは敗北している。
ハイエンドのCore i9-13900Kよりは高コスパだが、そもそもハイエンドになるほどコスパが悪くなるものなので、比べることの意味は薄い。
実際の価格に関しても、Core i7-13700/13700Kは6万円を超えていて高額だ。
Eコアが増えて性能が上がっているとはいえ、Core i7-12700Kより1.5万円ほど高額なのはかなりつらい。
Ryzen7 7700Xと比べると2万円も高い。
Ryzen7 7700XはDDR5のみ対応であり、ゲーミングPC全体で見たときに高額になりがちとはいえ、最近ではDDR5の価格も落ち着いている。この2万円の差は大きい。
とはいえ、コア数の多さによるマルチ性能はCore i7-13700/13700K独自の武器とも言えるので、価格やコスパはともかく、替えが効きにくいのも事実だ。
Core i7-13700/13700Kに関してよくある質問
- Core i7-13700/13700Kと組み合わせるのにおすすめのグラボは?
- Core i7-13700Fって何?Core i7-13700KとCore i7-13700KFの違いは?
- Core i7-13700/13700Kのソケット、対応マザーボードは?
Core i7-13700/13700Kと組み合わせるのにおすすめのグラボは?
Core i7-13700/13700Kは高性能なCPUなので、同じく高性能なグラボを搭載したいところだ。具体的には以上の通り。
RTX4070以上のグラボは、12GBのGPUメモリを搭載していて汎用性が高い。
Core i7-13700/13700Kもコア数が多く汎用性が高いので、RTX4070以上のグラボと組み合わせるのがおすすめだ。
Core i7-13700Fって何?Core i7-13700KとCore i7-13700KFの違いは?
Fは内蔵GPUがついていないことを表す。
F付きCPUを使う場合、グラボも搭載しないと映像が映らない。
ゲーミングPCであればグラボを搭載するので、F付きCPUを選んでも問題ない。
ただし、グラボが故障した際に映像が映らなくなり、何もできないというデメリットがある。
なお、Core i7-13700とCore i7-13700F、Core i7-13700KとCore i7-13700KFはそれぞれ同性能となっている。
Core i7-13700/13700Kのソケット、対応マザーボードは?
Core i7-13700/13700KのソケットはLGA1700で、インテル600シリーズ・700シリーズのマザーボードに対応している。
Core i7-13700Kはオーバークロック可能なので、Z690やZ790が主流となる。
Core i7-13700はオーバークロックできないのでその他のマザーボードで良い。BTOではB660やB760が主流になっている。
Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、Core i7-13700/13700Kの性能ベンチマークを比較した。
Core i7-13700/13700Kについて振り返ると以下の通り。
- Core i7-13700/13700Kの一番の売りは、ハイブリッドコアによるマルチタスク性能
- ゲーム性能においてはCore i7-12700KやRyzen7 7700Xを上回る
- Core i7-13700/13700Kは、性能も価格も妥協したくない人におすすめ
Core i7-13700/13700Kはゲーム性能自体も高いのでゲーマーにもおすすめだが、ハイブリッドコアを活かすためにも、ゲーム+配信のようなマルチタスクを行う人に向いている。
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- PassMark:https://www.cpubenchmark.net/
- Cinebench R23:https://www.cpu-monkey.com/ja/
- Blender:https://opendata.blender.org/
- V-Ray:https://www.chaos.com/vray/benchmark
- PCMark10:https://www.3dmark.com/