
「グレードの高いCPUを選びたいなって思ってるんだけど、Ryzen9 5900Xってどんな感じなの?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- Ryzen9 5900Xのカタログスペックやベンチマークスコア、価格やゲーム性能を競合CPUと比較
Ryzen9 5900X搭載のゲーミングPCをBTOショップから紹介→取り扱い終了
Ryzen9 5900Xは、2020年11月に発売開始されたハイエンドCPUだ。
このページを読めば、Ryzen9 5900XがどのようなCPUなのかがわかる。
Ryzen9 5900Xをまずは簡単に解説
- Ryzen9 5900XはRyzen5000シリーズのハイエンドCPU
- 新世代のRyzen9 7900Xの性能には敵わないが、他の似たようなCPUと比べると価格やコスパで優れている
- Ryzen9 5900Xは性能と価格の両方を重視したい人向けのCPU
Ryzen9 5900Xの最大の特徴はコスパだ。新世代であるRyzen7000シリーズが発売された以上、性能面での魅力は高くないが、コスパの良さは目を見張るものがある。
他のCPUと比べてどれほどの性能差なのか、そしてどれほどのコスパなのかに注目しながら読み進めると良いだろう。
Ryzen9 5900Xのカタログスペックを競合CPUと比較
Ryzen9 5900X | Ryzen7 5800X | Ryzen9 5950X | Ryzen9 7900X | Core i7-12700K | |
コア数(P/E) | 12コア | 8コア | 16コア | 12コア | 8コア/4コア |
スレッド数 | 24スレッド | 16スレッド | 32スレッド | 24スレッド | 20スレッド |
定格クロック(P/E) | 3.7GHz | 3.8GHz | 3.4GHz | 4.7GHz | 3.6GHz/2.7GHz |
最大クロック(P/E) | 4.8GHz | 4.7GHz | 4.9GHz | 5.6GHz | 4.9GHz/3.8GHz |
L2/L3キャッシュ | 6MB/64MB | 4MB/32MB | 8MB/64MB | 12MB/64MB | 12MB/25MB |
PCI-Express(Gen/レーン) | 4.0/16レーン | 4.0/16レーン | 4.0/16レーン | 5.0/24レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
基本消費電力 | 105W | 105W | 105W | 170W | 125W |
Ryzen9 5900XはRyzen5000シリーズのハイエンドCPUだ。Ryzen9 5900Xのカタログスペックを他の似たようなCPUと比較していこう。
Ryzen9 5900XとRyzen7 5800Xのカタログスペックを比較
Ryzen9 5900X | Ryzen7 5800X | |
コア数 | 12コア | 8コア |
スレッド数 | 24スレッド | 16スレッド |
定格クロック | 3.7GHz | 3.8GHz |
最大クロック | 4.8GHz | 4.7GHz |
L2/L3キャッシュ | 6MB/64MB | 4MB/32MB |
Ryzen7 5800XはRyzen9 5900Xの1ランク下に位置付けられるCPUだ。
両者の大きな違いはコア数となる。
Ryzen7 5800Xは8コア16スレッドである一方で、Ryzen9 5900Xは12コア24スレッドだ。コア数の多さは総合性能の高さに直結するので、マルチ性能ではRyzen9 5900Xが上回る。コア数が必要なクリエイティブ用途や、マルチタスクが多めな人はRyzen9 5900Xに向いている。
しかしゲーム用途ではコア数の多さは大きなメリットにはならない。というのも、ゲームでは8コアもあれば事足りるからだ。両者のクロックもほぼ同じなので、ゲームが中心なのであればわざわざRyzen9 5900Xを選ぶ必要性は薄そうだ。
もっとも、ゲーム+配信のような使い方をする場合は8コアギリギリのRyzen7 5800Xよりマルチタスクに優れているRyzen9 5900Xに軍配があがるだろう。
Ryzen9 5900XとRyzen9 5950Xのカタログスペックを比較
Ryzen9 5900X | Ryzen9 5950X | |
コア数 | 12コア | 16コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド |
定格クロック | 3.7GHz | 3.4GHz |
最大クロック | 4.8GHz | 4.9GHz |
L2キャッシュ | 6MB | 8MB |
Ryzen9 5950XはRyzen9 5900Xより1ランク上のCPUで、Ryzen5000シリーズ最強だ。
両者の大きな違いはコア数となる。
Ryzen9 5950Xは最上位CPUらしく16コア32スレッドという多くのコアを有している。12コアを持つRyzen9 5900Xよりさらにマルチタスクに適しているというわけだ。
ただし先ほども解説したように、ゲームでは8コアもあれば十分だ。それにRyzen9 5950Xの定格クロックはRyzen9 5900Xより低いことから、ゲーム用途ではRyzen9 5950Xを選ぶ必要性は無いと言って良い。
16コアが必要なほどヘビーなユーザー以外はRyzen9 5950XではなくRyzen9 5900Xのほうが良いだろう。
Ryzen9 5900XとRyzen9 7900Xのカタログスペックを比較
Ryzen9 5900X | Ryzen9 7900X | |
定格クロック | 3.7GHz | 4.7GHz |
最大クロック | 4.8GHz | 5.6GHz |
L2キャッシュ | 6MB | 12MB |
PCI-Express(Gen/レーン) | 4.0/16レーン | 5.0/24レーン |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR5-5200 |
基本消費電力 | 105W | 170W |
Ryzen9 7900XはRyzen9 5900Xの後継に当たるRyzen7000シリーズのCPUだ。世代間の大きな違いは以下の通り。
- クロック
- 消費電力
- 対応規格
Ryzen9 7900Xを含むRyzen7000シリーズは全体的に高クロック化している。Ryzen9 7900XのクロックはRyzen9 5900Xから1GHz程度上昇し、定格クロックが4.7GHz、最大クロックが5.6GHzとなっている。
表には記載していないが新アーキテクチャによるIPCの向上などを含めると、Ryzen9 5900XとRyzen9 7900Xのコア性能差は大きいと予想できる。
反面、Ryzen9 7900Xの基本消費電力は170Wと大幅に上がってしまっている。競合Intelの最上位CPUの消費電力もここまで高くないので、デメリットに感じてしまう人も多いだろう。
Ryzen9 5900XとRyzen9 7900Xとの違いで見逃してはならないのが対応規格の違いだ。Ryzen9 5900XはDDR4対応だったが、Ryzen9 7900XではDDR5対応となっている。
DDR4とDDR5は性能面ではDDR5が少し上という程度だが、価格が違う。
Ryzen9 5900Xを選ぶ場合は安価なDDR4対応のメモリやマザーボードを使えるが、Ryzen9 7900Xを選ぶ場合は高価なDDR5対応のメモリやマザーボードが必要というわけだ。
最近だとDDR5対応パーツの価格も下がってきているとはいえ、DDR4と価格差があることに変わりはない。
とはいえ、DDR4のほうが古い規格なので、数年後にパーツの交換や買い足しをする際にDDR4対応製品が見つからないという可能性があることには留意したい。
安さを取るか、将来性を取るかというわけだ。
Ryzen9 5900XとCore i7-12700Kのカタログスペックを比較
Ryzen9 5900X | Core i7-12700K | |
コア数(P/E) | 12コア | 8コア/4コア |
スレッド数 | 24スレッド | 20スレッド |
定格クロック(P/E) | 3.7GHz | 3.6GHz/2.7GHz |
最大クロック(P/E) | 4.8GHz | 4.9GHz/3.8GHz |
L2/L3キャッシュ | 6MB/64MB | 12MB/25MB |
PCI-Express(Gen/レーン) | 4.0/16レーン | 5.0/16レーン 4.0/4レーン |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
基本消費電力 | 105W | 125W |
Core i7-12700Kは競合IntelのCPUで、Ryzen9 5900Xと価格が同じくらいだ。
企業が違うのでカタログスペックも大きく異なる。
Core i7-12700K最大の特徴は、コアがPコアとEコアという2種類に分かれていることだ。クロックを見ればわかるように、Pコアは性能が高くEコアは性能ひかえめだ。
例えばゲーム+通話をするとき、メインのゲームは高性能なPコアで処理を行い、バックグラウンドの通話はEコアで処理を行う。役割分担をすることで作業を効率化しているというわけだ。
コア以外で言うと、Core i7-12700KはDDR4とDDR5両方をサポートしている。安さを優先したい場合はDDR4、将来性を優先したいならDDR5というようにユーザー側に選択権があるのは嬉しいポイントだ。
Ryzen9 5900Xのベンチマークスコアや価格を競合CPUと比較
PassMark | 3DMark | Cinebench(シングル) | Cinebench(マルチ) | コア/スレッド | 価格 | 1円あたりスコア | |
Ryzen9 5900X | 39273 | 10269 | 1636 | 21878 | 12/24 | 4.1万円 | 0.96 |
Ryzen7 5800X | 28080 | 7666 | 1619 | 15228 | 8/16 | 3.2万円 | 0.88 |
Ryzen9 5950X | 45899 | 12043 | 1644 | 28577 | 16/32 | 7.0万円 | 0.66 |
Ryzen9 7900X | 52319 | 12957 | 2034 | 29306 | 12/24 | 6.1万円 | 0.86 |
Core i7-12700K | 34730 | 10146 | 1939 | 22812 | 12/20 | 4.9万円 | 0.71 |
ベンチマークスコアはあくまで性能の目安であり、実際のパフォーマンスとは異なる場合があることに注意。
Ryzen9 5900Xのベンチマークスコアについて
PassMark | 3DMark | Cinebench(シングル) | Cinebench(マルチ) | |
Ryzen9 5900X(基準) | 100% | 100% | 100% | 100% |
Ryzen7 5800X | 71% | 75% | 99% | 70% |
Ryzen9 5950X | 117% | 117% | 100% | 131% |
Ryzen9 7900X | 133% | 126% | 124% | 134% |
Core i7-12700K | 88% | 99% | 119% | 104% |
Ryzen5000シリーズにおいて、コアの差がスコア差になっていると見て良い。コア数の差がそのままスコア差になっているわけではないが、大きな要因となっている。
現に、コア1つぶんの性能を表すシングルスコアはどれもほぼ同等だ。
カタログスペックで見たように、シングルスコアが重要になりやすいゲーム用途では、Ryzen9 5900X・Ryzen7 5800X・Ryzen9 5950X間の差は小さいと見て良いだろう。
新世代のRyzen9 7900Xと比べると全てのスコアで同じような差がついていることから、IPCやクロックの向上が効いているとわかる。さすがな新世代といったところだ。
Core i7-12700Kと比べると、シングルスコアでかなりの差をつけられた。PassMarkでは勝っているので用途によってはRyzen9 5900Xのほうが優勢だろうが、ゲーム用途ではCore i7-12700Kが有利なことが多そうだ。
Ryzen9 5900Xの価格やコスパについて
PassMark | 価格 | 1円あたりスコア | |
Ryzen9 5900X | 39273 | 4.1万円 | 0.96 |
Ryzen7 5800X | 28080 | 3.2万円 | 0.88 |
Ryzen9 5950X | 45899 | 7.0万円 | 0.66 |
Ryzen9 7900X | 52319 | 6.1万円 | 0.86 |
Core i7-12700K | 34730 | 4.9万円 | 0.71 |
Ryzen9 5900Xはかなり高コスパだ。これらのCPUの中でダントツでコスパが良い。価格自体も良心的であり、手が出しやすい。
Ryzen9 5950Xに関しては選ぶ意味のないCPUだ。Ryzen9 5900Xより大幅に高額だし、Ryzen9 7900Xより低性能で価格が高い。Ryzen9 7900Xは高価なDDR5パーツを選ぶ必要があるとは言え、わざわざRyzen9 5950Xを選ぶ意味はないだろう。
Core i7-12700Kと比べるとこれまた難しい。Core i7-12700Kのほうが価格が高くコスパも悪いが、シングルスコアやマルチスコアでは上だ。
実際のゲームのパフォーマンスを見て判断するしかないだろう。
Ryzen9 5900Xのゲーム性能を競合CPUと比較
- グラボはRTX3080
- 解像度はWQHD
- 最高設定
Ryzen9 5900XほどのCPUにふさわしい設定で測定を行った。
なお、記載している平均フレームレートは目安であり、保証するものではないことに注意。
Ryzen9 5900X | Ryzen7 5800X | Ryzen9 5950X | Ryzen9 7900X | Core i7-12700K | |
Cyberpunk 2077 | 86 | 79 | 85 | 99 | 86 |
Watch Dogs Legion | 88 | 86 | 91 | 104 | 91 |
God of War | 97 | 93 | 101 | 109 | 100 |
Red Dead Redemption 2 | 104 | 99 | 105 | 122 | 100 |
Assassin’s Creed Valhalla | 74 | 69 | 73 | 88 | 74 |
平均 | 89.8 | 85.2 | 91.0 | 104.4 | 90.2 |
割合 | 100%(基準) | 94.9% | 101.3% | 116.3% | 100.4% |
Ryzen9 5900X vs Ryzen7 5800X, Ryzen9 5950X
Ryzen9 5900X | Ryzen7 5800X | Ryzen9 5950X | |
Cyberpunk 2077 | 86 | 79 | 85 |
Watch Dogs Legion | 88 | 86 | 91 |
God of War | 97 | 93 | 101 |
Red Dead Redemption 2 | 104 | 99 | 105 |
Assassin’s Creed Valhalla | 74 | 69 | 73 |
平均 | 89.8 | 85.2 | 91.0 |
割合 | 100%(基準) | 94.9% | 101.3% |
Ryzen5000シリーズ勝負はRyzen9 5900Xが優勢なように見える。価格の面からRyzen9 5950Xを選ぶ価値は薄いので、Ryzen9 5950Xは論外だ。
Ryzen7 5800Xを比べると約5%のフレームレート差をつけている。たった5%と思われるかもしれないが、+1万円で5%のゲーム性能と30%ぶんのマルチスコアを手に入れられるなら安いものではないだろうか。
どうしても安く済ませたいのであればRyzen7 5800Xの方が良いだろうが、性能も妥協したくないのであればRyzen9 5900Xは良い選択肢になる。
Ryzen9 5900X vs Ryzen9 7900X, Core i7-12700K
Ryzen9 5900X | Ryzen9 7900X | Core i7-12700K | |
Cyberpunk 2077 | 86 | 99 | 86 |
Watch Dogs Legion | 88 | 104 | 91 |
God of War | 97 | 109 | 100 |
Red Dead Redemption 2 | 104 | 122 | 100 |
Assassin’s Creed Valhalla | 74 | 88 | 74 |
平均 | 89.8 | 104.4 | 90.2 |
割合 | 100%(基準) | 116.3% | 100.4% |
Ryzen9 7900XやCore i7-12700Kと比べると以上の通り。
次世代のRyzen9 7900Xはさすがのパフォーマンスだ。すべてのタイトルで安定してRyzen9 5900Xより高いフレームレートを出せていて、平均でも16%上回っている。
Ryzen9 7900XはDDR5のみサポートなので、CPUだけでなくPC全体で見ても値が張るという欠点はあるが、性能を求めるならRyzen9 7900Xを選ぶべきだ。
≫Ryzen9 7900Xのベンチマークとゲーム性能比較!搭載ゲーミングPCをBTOから紹介
Core i7-12700Kと比べると、ベンチマークスコアと同じく微妙な結果となった。DDR5対応をどう捉えるかによってどちらを選ぶべきなのかが変わるということだ。
DDR5の将来性を重視するのであればCore i7-12700Kを選んだほうが良いし、安さを優先してDDR4で良いという場合はRyzen9 5900Xを選ぶと良い。
≫Core i7-12700/12700Kのベンチマークとゲーム性能比較!搭載ゲーミングPCをBTOから紹介
Ryzen9 5900Xは安さが特徴のハイエンドCPU
ここまで見てきたように、Ryzen9 5900X最大の特徴は安さとコスパだ。
Ryzen9 5950XやCore i7-12700Kと同程度のゲーム性能を持ちつつ、12コアのおかげでマルチスコアも高い。
それでいて旧世代ということもあり価格も良心的だ。
もちろん、性能を追い求めるなら次世代のRyzen9 7900Xを選ぶべきだ。Ryzen9 5900XとRyzen9 7900Xとでは明らかに性能が違う。
とはいえ、安さと性能を追求できるのはRyzen9 5900X特有の特徴と言える。4万円強という比較的お手軽価格でゲーム性能・マルチ性能を求めたい人にピッタリだ。
Ryzen9 5900Xと組み合わせたいグラボ
Ryzen9 5900Xは旧世代とはいえハイエンドCPUなので、ミドルクラス以上のグラボと組み合わせたいところだ。
WQHD適性が高いRTX4070や、4Kにも対応できるほどのRTX4070Ti、RTX4080であればRyzen9 5900Xとのバランスが良いと言えるだろう。
Ryzen9 5900X搭載のゲーミングPCをBTOから紹介
Ryzen9 5900X搭載のゲーミングPCは、現在BTOショップでは扱われていない。
Ryzen9 5900Xの性能と搭載ゲーミングPCまとめ
- Ryzen9 5900Xは12コアというコア数が特徴
- Ryzen9 7900Xには性能で劣るが、価格的優位性が大きいCPU
- 性能と価格のどちらも妥協したくない人向けのCPU
このページではRyzen9 5900Xについて解説した。
Ryzen9 5900Xを選ぶかどうかを決めきれなかった人や、そもそもCPUの選び方が分からないという人は以下のページを読むと良い。
≫ゲーミングPCに搭載するCPUの選び方を初心者向けに解説
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは以下のサイトから引用している。
PassMark:https://www.cpubenchmark.net/
3DMark:https://benchmarks.ul.com/compare/best-cpus
Cinebench(シングル):https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-cinebench_r23_single_core-15
Cinebench(マルチ):https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-cinebench_r23_multi_core-16