
「ゲーミングPCを買おうと思ってるんだけど、グラボで迷ってるんだよね。なるべく安いほうが良いけど、ある程度のスペックが欲しいな。それでRTX3060Tiが気になってるんだけど、どんな感じのグラボなの?」って人に読んでほしいページだよ。
このページの内容は以下の通り。
- RTX3060Tiの特徴を解説
- RTX3060Tiの性能ベンチマークを比較
RTX3060Tiは2020年12月に発売開始された、エントリークラスのグラボだ。
このページを最後まで読めば、RTX3060Tiの性能がどれほどなのかがわかり、他のグラボとの比較検討ができる。
次世代のRTX4060Tiは、以下のページで解説している。
›RTX4060Tiの性能ベンチマークを比較解説
RTX3060Tiの特徴
RTX3060Tiは、フルHDが適正のエントリークラスのグラボであり、コスパを重視するときの最適解にもなるグラボだったが、状況がやや変わりつつある。
RTX3060Tiは、カタログスペック上で特筆すべき特徴は無い。順当に、RTX3060以上RTX3070以下と言ったところだ。
しいて言うなら、1ランク上のRTX3070とメモリ性能が同等であり、RTX3060よりはRTX3070に近い性能となっている。
RTX3060Tiの魅力は、カタログスペックからではわからないコスパだったが、その魅力がなくなりつつあるのだ。
RTX3060Tiの性能表を比較
RTX3060Ti | RTX3060 | RTX3070 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere | Ampere | Ampere |
GPUコア | GA104 | GA106 | GA104 |
プロセス | 8nm | 8nm | 8nm |
CUDAコア | 4864基 | 3584基 | 5888基 |
RTコア世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 |
RTコア | 38基 | 28基 | 46基 |
Tensorコア世代 | 第3世代 | 第3世代 | 第3世代 |
Tensorコア | 152基 | 112基 | 184基 |
ベースクロック | 1.41GHz | 1.32GHz | 1.50GHz |
ブーストクロック | 1.67GHz | 1.78GHz | 1.73GHz |
メモリ容量 | 8GB | 12GB | 8GB |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリクロック | 14Gbps | 15Gbps | 14Gbps |
メモリバス幅 | 256bit | 192bit | 256bit |
メモリバス帯域 | 448GB/s | 360GB/s | 448GB/s |
TDP | 200W | 170W | 220W |
推奨電源 | 600W | 550W | 650W |
RTX3060Ti | RTX3060 | |
---|---|---|
GPUコア | GA104 | GA106 |
CUDAコア | 4864基 | 3584基(74%) |
ベースクロック | 1.41GHz | 1.32GHz(94%) |
ブーストクロック | 1.67GHz | 1.78GHz(107%) |
メモリ容量 | 8GB | 12GB(150%) |
メモリクロック | 14Gbps | 15Gbps(107%) |
メモリバス幅 | 256bit | 192bit(75%) |
メモリバス帯域 | 448GB/s | 360GB/s(80%) |
TDP | 200W | 170W(85%) |
RTX3060は、RTX3060Tiの1ランク下のグラボだ。
RTX3060TiとRTX3060との大きな違いは、GPUメモリ容量だ。
RTX3060TiのGPUメモリは、エントリークラスの標準容量である8GBとなっている。
一方でRTX3060は、12GBのGPUメモリを搭載している。
RTX3060以外のRTX30シリーズで12GB以上のGPUメモリを搭載しているのは、ハイクラスグラボのRTX3080(12GB)以上だけだ。
大量のGPUメモリが必要になるケースは、一部の最新ゲームやVRChatなどだ。8GBでは足りず、ゲームが起動しなかったりフレームレートが異常に落ちたりすることがある。
基本的にはRTX3060Tiのほうがパフォーマンスが高いが、ごく一部の用途ではGPUメモリが多いRTX3060のほうが高いパフォーマンスを発揮できるのだ。
RTX3060Ti | RTX3070 | |
---|---|---|
CUDAコア | 4864基 | 5888基(121%) |
ベースクロック | 1.41GHz | 1.50GHz(106%) |
ブーストクロック | 1.67GHz | 1.73GHz(104%) |
TDP | 200W | 220W(110%) |
RTX3070は、RTX3060Tiの1ランク上に位置付けられるミドルクラスのグラボだ。
RTX3060TiとRTX3070のスペックで特筆すべきなのは、GPUメモリ性能だ。
RTX3060TiとRTX3070のメモリ性能は全く同じとなっている。
コアの方は、RTX3070が順当に数が多い。
RTX3060TiとRTX3070のスペック差はコア数だけであり、そこまで大きなスペック差はないということだ。
RTX3060Tiの性能ベンチマークを比較
RTX3060Tiのグラフィック性能を、定番ベンチマーク「3DMark」で比較した。
RTX3060TiはRTX3060に25%の差をつけて勝ち、RTX3070には17%の差で負けている。
RTX3060TiはRTX3070寄りの性能というわけだ。
グラフィック性能を見る限り、RTX3060Tiは魅力的なグラボだ。
RTX3060Tiのゲーム性能を比較
- RTX3060TiのフルHD性能を比較
- RTX3060TiのDLSS性能を比較
RTX3060TiのフルHD性能を比較
フルHD | RTX3060Ti | RTX3060 | RTX3070 |
---|---|---|---|
Cyberpunk 2077(RT) | 38 | 29 | 45 |
God of War | 78 | 70 | 89 |
Red Dead Redemption 2 | 54 | 43 | 59 |
Witcher 3 NextGen(RT) | 30 | 29 | 43 |
Hogwarts Legacy | 71 | 60 | 76 |
平均 | 54.2 | 46.2 | 62.4 |
割合 | 100%(基準) | 85% | 115% |
※CPUはRyzen7 5800X3D、最高設定
RTX3060TiのフルHD性能は十分な域にある。
よりリアルな描画になる代わりに処理が重くなるレイトレーシング(RT)をオンにしたゲームでは30fpsほどであり厳しいが、それ以外だとおおよそ60fpsが達成できる。
Red Dead Redemption 2は54fpsだが、画質を多少下げれば60fpsを達成するはずだ。RTX3060Tiを検討していてフルHDでゲームをプレイする人は、最高画質へのこだわりは薄いはず。
RTX3060も十分なフルHD性能ではあるが、60fpsというラインがやや遠い。
多少の妥協をしつつフルHDでプレイしたいならRTX3060Tiがおすすめだ。
RTX3060TiのDLSS性能を比較
フルHD | RTX3060Ti | RTX3060 | RTX3070 |
---|---|---|---|
Cyberpunk 2077(RT) | 62 | 50 | 73 |
Witcher 3 NextGen(RT) | 42 | 38 | 55 |
Hogwarts Legacy | 89 | 81 | 95 |
平均 | 64.3 | 56.3 | 74.3 |
割合 | 100%(基準) | 88% | 116% |
※CPUはRyzen7 5800X3D、最高設定
※DLSSはクオリティ(画質重視)に設定
DLSSを使えるゲームにおいては、RTX3060TiのフルHD性能がさらに強化される。
レイトレーシングオンのCyberpunk 2077で平均60fpsを出せるほどのパフォーマンスを発揮でき、十分すぎるフルHD性能だと言える。
RTX3060も健闘しているが、ネイティブのときと同じくRTX3060Tiほどの余裕がない。
DLSSを加味しても、RTX3060TiはフルHDでのゲームプレイに向いているグラボだ。
RTX3060Tiのクリエイティブ性能を比較
RTX3060Ti | RTX3060 | RTX3070 | |
---|---|---|---|
Premiere Pro Pugetbench | 50.6 100% | 44.2 87% | 50.6 100% |
Photoshop Pugetbench | 132.7 100% | 121.4 91% | 135.8 102% |
Blender | 3216 100% | 2531 79% | 3700 115% |
RTX3060Tiのクリエイティブ性能はこれらのグラボの中では優秀だ。
特にPremiere ProでRTX3060Tiは有利だ。RTX3070と同等で、RTX3060に13%勝っている。
反対に、BlenderではRTX3070に15%の差をつけられている。
使用するソフト次第だが、RTX3060Tiのクリエイティブ性能は悪くないと言える。
RTX3060Tiの消費電力とワットパフォーマンスを比較
RTX3060Ti | RTX3060 | RTX3070 | |
---|---|---|---|
Cyberpunk 2077(RT) | 208W | 166W | 242W |
God of War | 217W | 153W | 248W |
Red Dead Redemption 2 | 212W | 165W | 229W |
Witcher 3 NextGen(RT) | 196W | 170W | 242W |
Hogwarts Legacy | 197W | 165W | 240W |
平均 | 206.0W | 163.8W | 240.2W |
ワットパフォーマンス | 0.26 | 0.28 | 0.26 |
※ワットパフォーマンス=フレームレート÷消費電力 高いほうが良い
RTX3060TiのワットパフォーマンスはRTX3070と同等で、RTX3060に若干ではあるが劣る。RTX30シリーズ同士であれば、基本的には同等のワットパフォーマンスになるのだ。
RTX3060Tiの価格とコスパを比較
※コスパ(ゲーム)=平均フレームレート÷グラボ価格(万円)
※コスパ(ベンチ)=3DMark÷グラボ価格
RTX3060Tiのコスパは悪くないが、他と比べると見劣りする。
特にRTX3070は値下がりの影響でコスパが改善され、RTX3060Tiより高コスパになっている。RTX3060のほうが更に高コスパだが、RTX3060TiとRTX3070の価格差が1万円未満であることを考えると、RTX3070が魅力的に見えてくる。
RTX3060Tiの性能面は非常に優秀だが、RTX3070の値下がりによって相対的に見劣りしてしまうという評価だ。
RTX3060Tiの性能で十分であり、RTX3070は買えないという人にだけおすすめだ。
RTX3060Tiに関してよくある質問
- RTX3060Tiと組み合わせるのにおすすめのCPUは?
- RTX3060Tiの推奨電源は?
- RTX3060Tiを使うと電気代はいくらになる?
RTX3060Tiとの組み合わせにおすすめなCPU
PassMark | Cinebench シングル | Cinebench マルチ | コア/スレッド | |
---|---|---|---|---|
Core i5-12400 | 19533 | 1623 | 12454 | 6/12 |
Core i5-13400 | 26355 | 1749 | 14865 | 10/16 |
Core i7-12700 | 31127 | 1862 | 21568 | 12/20 |
Ryzen5 5600X | 21936 | 1593 | 10988 | 6/12 |
Ryzen7 5700X | 26671 | 1532 | 13802 | 8/16 |
一番おすすめするのはCore i5-13400だ。Core i5-13400はCore i5ながら10コア(Pコア6個とEコア4個)を持ち、マルチタスクをはじめ、総合的に優れたCPUだ。
価格的にもCore i5-12400とさほど変わらず、BTOショップでの取り扱いも多い。
RTX3060Tiの推奨電源は?
RTX3060Tiの公式での推奨電源は600Wだ。
RTX3060TiのTDPが200Wで、Core i7-13700Kを搭載すると+125Wで、合計325Wだ。
使用電力の2倍弱の電源が望ましいとされているので、600Wというわけだ。
RTX3060Tiを使うと電気代はいくらになる?
ゲーム時の消費電力平均 | 1日5時間使用 | 30日間使用 | |
---|---|---|---|
RTX3060Ti | 206.0W | 31.93円 | 957.9円 |
RTX3060 | 163.8W | 25.39円 | 761.67円 |
RTX3070 | 240.2W | 37.23円 | 1116.93円 |
※環境によって電気代は異なる
グラボのみで計算。実際はCPUなどの他パーツの電力が加算される。
RTX3060Tiの性能ベンチマークの比較まとめ
このページでは、RTX3060Tiの性能ベンチマークを比較した。
RTX3060Tiについて振り返ると以下の通り。
- RTX3060TiはRTX3060よりさらに余裕があるフルHD性能
- RTX3060Tiは性能と価格の両面で優れていたが、RTX3070の値下がりによってRTX3070の魅力を持っていかれている
- RTX3060Tiは、安さとフルHD性能を両立したい人向け
RTX3060Tiを選ぶかどうかを決めきれなかった人や、どのグラボを選べば良いのかが分からないという人は以下のページを読むと良い。
≫ゲーミングPCに載せるグラボ性能の選び方とおすすめを初心者でもわかるように解説
参考サイト
このページで紹介したベンチマークスコアは、以下のサイトから引用している。
- 3DMark:https://benchmarks.ul.com/
- Blender:https://opendata.blender.org/